ブックタイトル小学校社会科 わたしの指導提案
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小学校社会科 わたしの指導提案
3年4年6年5年年間を通した見通しと振り返り 学習指導要領の改訂による5年の内容の変更点を整理して示すと,大きくは次の4点になる。 ● 国土学習と環境学習について ● 食料生産と工業生産の概要について ● 生産性や品質と工業製品の改良について ● 情報を生かして発展する産業について 国土学習と環境学習に関する内容は,これまで学習指導要領上では,同じ内容項目の中で示されていた。今回の改訂により,内容項目の(1)に「我が国の国土の様子」,内容項目の(5)に「我が国の国土の自然環境と国民生活との関連」と,それぞれ個別の内容として示されることになった。 これは,国土学習については,これまで以上に我が国の国土としての領土学習のあり方を明確にすることを意図したものである。環境学習については,自然環境と国民生活の関連の中でも,続発する自然災害に関する学習をさらに充実させるための方策である。 この国土学習と環境学習については現行の各社教科書でも既に個別の単元として取り扱われており,今回の学習指導要領の改訂はこれまでの教科書での扱いを後押しする形になっている。 食料生産については,これまでの「様々な食料生産と輸入」,「生産物の分布と土地利用の特色」の小項目が「食料生産の概要」に,同じく「様々な工業製品」と「各種の工業生産と工業地域の分布」が「工業生産の概要」として一つの小項目に合わせて示されるようになった。 これは,食料生産と工業生産ともに,それぞれ の産業の概要や全体像をまず俯瞰することにより,これまで以上に農業や工業について,広い視野での学習を期待するものとなっている。 その上で,食料生産では「生産性や品質を高めること」,工業生産では「工業製品の改良」を取り上げることも学習指導要領の内容に明記された。関連して,食料生産では「輸送方法や販売方法の工夫」,「価格や費用」,工業生産では「製造の工程」,「工場相互の協力関係」や「優れた技術」についても内容に示されたように,これまで以上に様々な産業における工夫や努力の内実を深く探究させようとする期待も込められている。 最後に,5年の内容の中での最も大きな変更となるのが,新たな内容となる「情報を生かして発展する産業」である。この「情報を生かして発展する産業」は,私たちの日常生活だけでなく,様々な産業においても色々な情報が多様に広く活用されていることを考えさせようとするものである。情報活用のあり方を多角的に考察することを通して,高度化する情報社会の利点と課題を子どもたちが自分なりに整理できるところまでの学習が期待されている。(永田)第5学年の変更点とは? 「我が国の産業と情報との関わり」という単元において,知識・技能面で「大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解すること」と示されている。内容的に従来と大きく異なる学習となる単元として捉え,教材の種を探していった。 それらの中から医療に関するもの,特に健康予測AIを教材として選択した。実際に産業として活用されており,かつ社会的に意義が明確である。医療分野が情報の産業活用の教材として扱いやすい点は,情報の収集・活用者(=医療関係者)と提供・享受者(=患者)という構図がシンプルでわかりやすいことである。他の業種では,多くの場合は情報を収集・販売する業者が間に入ったり,情報の提供者やサービス享受者が異なっていたりするなど,関係が複雑化することがある。また,社会的意義として,健康予測のAIの精度がさらに高まり広く認知が広がることは,国民の健康的な生活を支持することに直接的に関わってくるほか,近年高騰が話題に上がる国の医療費問題などに関連する事項として捉えることもできる。 「あなたの3年後の健康状態が90%の確率で当たります」と言われたら,子どもはどのように受け止めるだろうか。糖尿病など,生活習慣病の健康予測AIを開発した都内のクリニック(内科)のT先生にお話を伺いながら,この数字的なインパクトが学習の出発点になると考えた。そのAIは,年齢や体重といった一般的な基準値ではなく“その人”に合った判断を下すことができる。開発のきっかけは,研修医時代の自分の判断に不安があったことだという。昼夜問わず,名医と呼ばれる医師の知見を参考にできることは,医師にとっては医療の質を担保する一助となり,結果的に患者にとってはより正確で,より速い判断がなされることにつながるのである。 最初に提示した「的中率90%,収集したデータが4,000人」というインパクトのある数値に子どもは着目する。「AIとは何か得体のしれないもの」のように捉える子どももいる。単元の途中で,AIには医師や栄養士等,専門家6名の知見が入っている点に着目させたい。AIの詳細・専門的な仕組みにまでふれる必要はない。T先生の開発への思いや経緯も踏まえつつ,AIとは人類の英知の結晶であり,人の営みの延長線上にある,という事実を子どもが感じ取った上で学習を終末に向かわせたい。 また,「AIが発達すると,医師がいらなくなるのでは」と,不安の混じった意見を持つ子どもがいる。AIの特質や人間よりも優れた部分を理解するのと同時に,人間の医師にしかできないことについて,資料を用意しておくことで,不安を解消して学習問題に向かっていくことができる。(小倉)第 5 学年の指導提案暮らしを豊かに変えるAI ~ AI がその人の健康を予測する~● 横浜国立大学教育学部附属鎌倉小学校教諭 小倉 健太郎● 広島大学大学院准教授 永田 忠道小単元事例健康予測AI について教材の選定について田畑果樹園市街地森林・その他かじゅえんしがいち※北方領土は資料なしほっぽうりょうど しりょう乳牛肉牛肉牛肉牛小麦じゃがいもりんごりんごさばさばぶどうぶどうももももみかんみかんみかんなすぶたさつまいもなすトマトトマト茶茶いわしいわしいわしさとうきびかつおかつお かつおレタスキャベツ レタス キャベツピーマンピーマンはくさいはくさいさばとかち十勝平野こんせん根釧台地みやざき宮崎平野くまもと熊本平野つくし筑紫平野かんとう関東平野せんだい仙台平野やまがた山形盆地ながの長野盆地こうふ甲府盆地ふくしま福島盆地つがる津軽平野しょうない庄内平野えち ご越後平野まき の はら牧ノ原あつ み渥美半島き い紀伊半島おおすみ大隅半島さつ ま薩摩半島おきなわ沖縄島こうち高知平野にゅうぎゅうちゃちゃ鶴岡市つるおか銚子市ちょうし嬬恋村つまごい安芸市あき有田市ありだ0 100 200kmこの地図だけでは,産地と気候や地形との関係はよくわからないよ。もっとくわしく調べたいな。畜ちく産さん物ぶつの生産は,北ほっ海かい道どうや九きゅう州しゅうでさかんだけど,気候や地形と関係があるのかな。みかんは,あたたかい気候の地域が産地だから,気候を生かして生産をしているんじゃないのかな。日本の食料の産地 みおさんたちは,自分たちでつくった産地マップと①の地図を見比くらべながら,話し合うことにしました。平地に田が広がっているよ。それに,土地の使われ方を見ると,米は全国で作られていることがわかるね。産地マップでは,わたしたちが住む地ち域いきの近くから運ばれてきた農産物が多かったけれど,①の地図だと,全国各地でいろいろな農産物が生産されているよ。①おもな食料の産地②さとうきびの収しゅう穫かく(沖おき縄なわ県) ③高地に広がるキャベツ畑(群ぐん馬ま 県嬬つま恋ごい村)やはり,りんごは,青あお森もり県や長なが野の県で,みかんは静しず岡おか県や和わ歌か山やま県,愛え媛ひめ県でさかんに作られているね。 日本の食料の産地は,どこなのだろう。空間 なぜ,各地でさかんに生産される農産物がちがうのだろう。 国土の学習で気候や地形に合わせた産業がおこなわれていたことをふり返って予想してみよう。見方・考え方510570 71▲ 5 年P.70 -71授業化におけるポイント10 11