ブックタイトル小学校社会科 わたしの指導提案

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概要

小学校社会科 わたしの指導提案

3年4年5年6年年間を通した見通しと振り返り 今回の改訂で引き続き強調されている点は,社会科で育てようとしている「公民的資質」の定義である。「平和で民主的な国家・社会の形成者としての自覚,自他の人格を互いに尊重し合うこと,社会的義務や責任を果たそうとすること,社会生活の様々な場面で多面的に考えたり,公正に判断したりすること」などの態度や能力は,今後も引き継がれるとされた。 そのうえで,小学校社会科は,世界の国々との関わりや政治のしくみや働きへの関心を高めるため,第6学年は,内容構成が大きく改められた。 これまでは歴史の後に公民内容が示され,学習活動もその順序で実践されてきたが,今回,まず「我が国の政治の働き」,次に「我が国の歴史上の主な事象」,そして「グローバル化する世界と日本の役割」となり,歴史内容を公民内容が挟む形となった。つまり,今回特に重視される「学習の問題を追究・解決する活動」を充実するため,現在の政治のしくみを踏まえて歴史を学習し,それをもとにこれからの国際社会を考察するという新しい内容構成になった。 これは,中教審の議論などで,6年の歴史学習が(幕府や新政府など)政治のしくみの変化を前提とした内容であるにもかかわらず,政治を歴史の後に学ぶ構成となっていることが,6年の学習を子どもたちの身近なものにしない原因ではないかとする声などを踏まえた変化である。 今回の改訂によって歴史学習に先立って学習される公民学習では,国や地方公共団体の「政策の内容や計画から実施までの過程,法令や予算との関わり」を取り上げることとされた。歴史学習に先立って,政治のしくみ(政策の過程)を子どもたち自身が,問いを持って対話的(協働的)に学ぶことが,後に続く歴史学習をより主体的な学習にする。 そのさい,第6学年の目標の中に「地図帳や地球儀,統計や年表などの各種の基礎的資料を通して,情報を適切に調べまとめる技能を身に付ける」とあることに留意したい。つまり,「まとめる」活動として,子どもたち自身が地図,統計や年表をつくって,それをもとに説明する場面がある授業が必要と考えられる。子どもたちにとって,年表等の資料は,既製品を使うだけでなく,自らつくるものという常識を付けたいものである。それが,今後,子どもたちが中学生・高校生となったときにも生きて働く技能となるだろう。加えて,それら資料をもとに子ども同士が対話し互いに学びを深める経験が,意見を異にしても人格を互いに尊重し合う民主的な「公民的資質」を育むことになろう。(土屋)何が変わらず何が変わるか?第6 学年での主体的・対話的で深い学び 第6学年社会科において,今回の学習指導要領の改訂の要点は,何といっても内容構成が変わり政治学習が歴史学習の前におかれたこと。その政治学習においても,先に「日本国憲法や立法,行政,司法の三権と国民生活に関する内容」が示され,「国や地方公共団体の政治の取組に関する内容」と順序が変わったことであろう。それは,政治の働きへの関心を高めることとともに,6年社会科に一つの筋道ができたことだと考えられる。現在の政治のしくみを学習し,それが日本の歴史の中でどのように獲得されてきたかを学び,国際社会での我が国の役割を考えることを経て,わたしたちの未来を見据えていくことができると考えられるからである。 憲法の三原則(国民主権,基本的人権の尊重,平和主義)と,わが国の政治のしくみ(国会,内閣,裁判所)とを一つの小単元として指導提案をしたい。 まず,大単元の導入で,首相や地方公共団体の長の写真を提示し人物から学習に入る。どちらも国,地方公共団体というまとまりを治めている人物であることをおさえ,そこに3年生から5年生までの既習内容のうち,政治,法やきまりに関わる内容を,写真等を活用し想起させる。このとき,「政治」の定義について説明しておく。今後繰り返し出てくる言葉についてはっきりさせておくことが子どもたちの学習の支えとなる。その後,小単元の導入において,首相などが日本国憲法を基に政治をおこなっていることを知らせる。あえて,先に政治と日本国憲法に繋がりがあることをつかませることで,子どもの生活と政治や日本国憲法との繋がりに疑問をもたせる布石のようにする。 次に,日本国憲法が最高法規であること,基本的な考え方である三原則等について調べさせる。「憲法記念日」にからめると,学習時期もふまえ,効果的であると考える。 後半では,身近な公共施設等を取り上げ,子供の日常生活と政治や日本国憲法とのギャップから疑問をもたせ,学習問題を見出して学習を展開していく。政治をおこなう人物や日本国憲法と子供をうまくつなぎ合わせることができれば,その学習がぐっと身近になると考える。ここで日常生活に根差した学習を展開することで,このあとに続く国や地方公共団体政治の働きの学習の理解がより深まると思われる。 小単元の終末において,例えば模擬選挙をしたり,模擬裁判員裁判をしたりする活動を設定することで,自分たちにできることを考えさせたい。( 仲)「政治」から始まり「歴史」を通して「未来」へ繋がる6年社会科第 6 学年の指導提案小単元終末の活動について● 東京都豊島区立千早小学校教諭  仲 純平 わたしたちのくらしと日本国憲法● 愛知教育大学教授 土屋 武志小単元事例日本国憲法と政治のしくみ▲ 6 年P.6-7▲ 6 年P.8▼ 6 年P.1014 15