ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし

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概要

図工・美術でゆたかなくらし

他教科と中学校で教科をつなぐ─ お茶会体験を美術科と家庭科で─ さまざまなルーツをもつ子どもたちが在籍する本校では、日本の文化に触れよう(一生に一回かもしれないから)というテーマで、地域のお茶の先生をお招きして本格的にお抹茶を点てる、お茶会体験を家庭科で行っていました。ここで、ピンときます。「茶器を美術でつくって連携したら、作品を実際に『使う体験』を通した深い学びのある鑑賞の時間になるのでは? お抹茶代や衛生面、会場作りや師匠との交渉などは任せられるのでは?」。 このおいしいひらめきを実現すべく、交渉を始めました。おいしい1 ひらめき半分の手間、学びは3 2倍以上  これを美術科だけで取り組もうとすれば大変ですが、連携すれば分担できます。二教科で取り組めば半分の手間、総合的な学習をからめて、学校を飛び出したらもっと多くの力や人と協力できます。美術科が持ち前の柔軟さを生かして調整すれば、学びは二倍、いやそれ以上。基本的に、学校関係者は子どもが好き、子どもが夢中になって何かをしている姿が大好きな人ばかりです。あとは、声をかけるか、かけないか。波を起こせばあとは乗るだけ。教科担任制が一般的な中学校。それぞれの先生が専門的に教科学習に取り組んでいるからこそ、つながる学びがそこにあります。他教科の先生がどのような授業をしているのか、常に意識しましょう。子どもたちの話から聞こえてくることもあります。ピンと立つアンテナをもつ学校も地域も、授業を応援してくれる。愛されている、大切にされているんだという感覚は意欲を引き出すのに十分な力があります。きっちりと伝えれば「こんな体験はうちの学校だから出来たんだ」という気持ちがもてるでしょう。自分の地域、学校が自慢の種になるっていいですね。学習を支えくれた人たちがいることを伝えるさらに地域とつなぐ活動でお世話になった方のお店を紹介すると、関心のある子どもは出かけていき、さらに地域とつながっていきます。今回も職人さんに会いたいと和菓子を買いに出かけた子どもがいました。他教科の観点は任せてしまい、美術科が学びの軸をぶらさず形を変えましょうどの先生も子どもが一生懸命頑張る姿が好き。提案してみれば意外と実現に向けて動き始めます。柔軟な美術科が軸をぶらさず形を変えましょう。家庭科の先生と協力するのであれば、衛生管理などは、プロである家庭科の先生にお任せするのが一番。 「こちらがタイミングを合わせるので決してご迷惑はおかけしません!」と家庭科の先生に固く誓い、茶器の制作と、職人さんの指導による和菓子制作体験を通した鑑賞を美術で行い、お茶会の体験学習を家庭科で行う、という連携を考え、職員間で話し合い、互いの工夫の末、時間を確保することに成功。授業の全体像を説明すると、子どもたちの目がわくわくしてくるのを感じました。 和菓子の制作では、三年生にもなって、楽しみすぎて廊下を走って調理室に集合する子どもたち。なんて幸せな時間。「思ってたより柔らかい!」「こんな道具でつくるんだ」。職人さんに優しく丁寧に教えてもらいながら、見本を基に和菓子を制作。思うようにできない中、職人技の奥深さを存分に味わっていました。 翌日は、自分の器でおもてなしのお茶会。お作法を学び、自分が工夫してつくり上げた器にお茶を点て、正面に座った友だちにふるまいます。自分とは違う形の工夫や釉の景色を味わい語り合う楽しみを体験できました。「器ってみんな同じだと思ってたけど違いがあるもんだよね?」「苦いお茶と和菓子を合わせるとお茶の苦味も収まるし、和菓子がおいしく感じる!」そうそう、それだよね。2 和菓子とお茶が学びをつなげる12 13