ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし

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概要

図工・美術でゆたかなくらし

はじめに ?図工・美術でゆたかなくらしを 『美術ってなんのためにやるの?』 これは、かつて私が中学校の教師だったときに、二年生の生徒から問いかけられた言葉です。 そのとき、私がどのように答えたのかはよく覚えていません。しかし、この問いにハッとしたことだけは今でもはっきりと覚えています。 もちろん、子どもたちのよりよい成長のために図画工作科・美術科の学習があることは承知していますし、そうした思いをもって日々の授業に臨んでいることは確かです。しかしながら、図画工作科・美術科の学習の意味を、子どもたちはもちろん、同僚の先生方、保護者の方々に、“ 分かる言葉” で説明し、理解を得ようと努力してきただろうか、さらには、地域や社会に対してはどうだろうか……。こう考えると、はなはだ自信がなくなってしまうのです。 平成29 年3 月に新しい学習指導要領が公示されました。その改訂の検討を行った芸術ワーキンググループが、次のような提言をしています。「授業の中で、なぜそれを学ばなければならないのかということを実感することについては、教員の意識としても、子供たちの意識としても弱いのではないかという指摘もなされている。このため、授業で学習したことが、これからの自分たちの生活の中で生きてくる4 4 4 4 4 4 4 4 4 44 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4という実感を持てるよう4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4、指導の改善・充実を図ることが求められる(傍点著者)。」 ここには、『図工・美術ってなんのためにやるの?』という問いに対する答えが示されているように思います。その答えとはずばり、子どもと教師が『図工・美術でゆたかなくらし』をつくりだすことです。 新しい学習指導要領によれば、それは「社会に開かれた教育課程」の実現によって可能とのことです。このことについて、いろいろな先生方とお話をしたところ、多くの先生方がすでに「社会に開かれた教育課程」ともいえる実践に工夫して取り組んでおられました。そして「子どもたちの授業への食いつきが全然違って楽しいですよ」、「やるまでは大変に思えるんだけど、やってみると自分だけで子どもを育てるんじゃないってことに気が付いて楽になりました」、「美術の味方をつくることができました」といった手応えを感じておられました。 本書では、そうした先生方に、取り組まれた実践と、実践するうえでのポイントについて語っていただきました。 ぜひご一読いただき、「社会に開かれた教育課程」の実現を通して、子どもたちと『図工・美術でゆたかなくらし』をつくっていく楽しさを一緒に味わってみませんか?大泉義一 (横浜国立大学 准教授)1