ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし
- ページ
- 20/42
このページは 図工・美術でゆたかなくらし の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 図工・美術でゆたかなくらし の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
図工・美術でゆたかなくらし
「すり替わる瞬間」を見落とさない大 それらを踏まえた上で、どう教科をつなぐのかという話を伺いたいのですが、筒井先生いかがですか?筒 生活科で水遊びをした流れで、シャボン玉遊びをしたんです。子どもたちは、楽しみながら普通につくるだけじゃなくて、泡をあふれさせるとかいろいろなことをし始めたんですよ。そしたらある子が泡のポタンと垂れてるのを見て「色を着けたら、面白くない?」って言いだしたんです。そこで画用紙を渡して「ここに垂らしてみる?」って提案しました。色も三色用意していたのを着けてあげて。すると、色を混ぜたり形を写したりしてできた形を見て「これ、○○っぽーい」といった会話が生まれていきました。そのうち「○○みたいだから、クレパスでかき足していい?」となって、自然と作品になりました。気が付いたら図工にすり替わってたんです。実はあとでこの題材につなげたいと思っていたんですけど、子どもが自分で見付けてブクブクブォ?っていうのをやり始めたので(笑)。荻 今だー!って感じ?筒 そう、今だー!って感じで(笑)。子どもが自えること」を大切にしていて「自分で考えてなんとかするのが一番楽しい」ということを三年間かけてコツコツ教えている感じがします。大 具体的にどんなことから始めるんですか?荻 ポートフォリオをつくることを大事にしていて、自分が考えたことの経過が分かるようにしています。さんざん考えて結論を出したっていう道筋が自分でも見えるようにすることを大切にしてるんです。筒 一年生からするんですか?荻 はい。最初にレタリングをするんですが、「永」のレタリングを教えたあと、クラスの雰囲気などを基に「賑やかな」とか「きちんとした」といったお題を出します。同じお題で、自分の思う「永」を一時間、鉛筆のみで表すんですが、この過程から全てポートフォリオにしています。表現したら、何故そのように表したのか横に理由を書いて観賞会をします。観賞会では、それぞれがいいなと思ったものを推薦し合うんですけど、その理由も説明してもらいます。そうやって理由を考える習慣をつけます。大 なるほど。自分がいいと思ったこと、さらにその根拠を大切にするということですね。育てたい力があって、それを題材を通して育てるということでしたが、学級担任のお立場だといかがですか?筒 子どもが「自分の考えを言っていいんだ」って思えることを大切にしています。そう思えないと発言しなくなるので。例えば九割の子どもがA の意見で一割の子どもがB の意見といったときでも、その一割の子が「でも私はこう思う」って言えるようにしています。多数決をしないで、皆が納得するまで話し合うということを繰り返しやってますね。多数決だと少数派だから終わりってなっちゃう。そうではなく、その子が自分の強い思いを話して、周りも聞いてその子の考えのよさを捉えて、みんなが納得できる結論にしてほしいんです。一年生でも、くり返すうちに子どもから何かを言い始める機会はすごく増えたと思います。一歩前へ進められると捉えてらっしゃる。荻 だから地域の人を呼びたいときも、「社会に開かれた教育課程が?」と相談すれば済むようになりました(笑)。したいことがしやすくなりました。大 学習指導要領って、社会的な要請の部分もあるけれど先生がしてきたことを大事にしてるんですよね。これまでやってきたことをもう一歩進めるための応援ツールという側面もあるかもしれない。どう感じるのかは先生方の教育観によりそうですね。子どもにどのような力を付けてほしいか大 筒井先生が子どもたちと接する際に意識されていることはありますか?筒 どの教科でも活動でも、子どもの考えからスタートしたいと思っています。子どもの見方とか気付き、疑問から始まるような、自分ごととして捉えながら活動できるようにしたいと思いますね。大 一貫しているものがおありですね。中学校の三年間ではいかがでしょう。荻 私は、考えないでも生きていけるけど、自分で考えて自分で決めて自分の進みたい方向を見付けられるようにしてあげたいと思っています。大 それはどういうことですか?荻 普通はこうだから自分もこうする、という生き方をしないで、自分でものごとを生み出すことを恐れずに生きていくのがいいんです。そのために「考「社会に開かれた教育課程」の印象大泉(以下 大) 「社会に開かれた教育課程」が、今回の学習指導要領改訂の主旨の一つで、この冊子のテーマですが、この言葉を知ったときの印象についてお伺いしたいと思います。筒井(以下 筒) 学校で学んだことが生きていく、子どもが「自律」していくようなイメージをもちました。自分で問いを見付けたり何かをしようと動き出したりするような子どもを育んでいくことかな、と。大 昔から、子ども中心の教育と言われて久しいのですが、それをしっかり後押ししていくっていうイメージですね。荻島(以下 荻) 私は、もともとやっていたことが文章化されたという感じでした。「先生はたくさん、育てる子どもは一人」という意識でずっとやってきたので。やっと私のターン!って感じです(笑)。「美術室から飛び出そう」という言い方をしてたんですが、「社会に開く」っていう新しい言葉をもらって、なるほどと思いました。これまでしてきたことに加えて、地域の人にも応援してもらえる、保護者も巻き込んでいいということが明記されて、やりやすくなると感じました。大 学習指導要領のことを足かせのように捉えたり、それを正確に履行するためにはどうすればいいんだと焦ったりする様子を見ることもあります。しかし荻島先生は追い風として、今やっていることを子どものイキイキとした学びのために?教科をつないで「ゆたかなくらし」へ?「社会に開かれた教育課程」。その第一歩は教科をつなぐことから始まります。このことを教育の最前線で日々子どもたちと触れ合っている先生方はどのように考えておられるのでしょうか。大泉先生が、横浜国立大学教育学部附属横浜小学校の筒井彩先生、横浜市立上飯田中学校の荻島千佳先生にお話を伺いしました。子どもたちの学びの経過が見える18 19