ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし

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概要

図工・美術でゆたかなくらし

の形とかいう感じで、後の単元で名前を知るんですが、そういうところはつながっていますよね。大 まず生活の中から同じような形の物を見付けるんですね。筒 最初、身近にある物で、これと似た形のものを見付けてみようって感じです。最終的にその形の特徴を知る。大 先生が仰った、転がるとか積み重ねられるというのは、まさしく〔共通事項〕の「知識」ですよね。自分が転がしたり積んだりしたくなる感覚や、実際の行為を通して形の特徴に気付いている。算数か図工かではなく子どもはしっかり総合的に捉えているということですよね。筒 遊びから入っていくというのはよくあります。1 から10 までの数を知るというのも、学校の中にある5 個のものを探しに行こう、ということから始めたりします。大 フィールドワークするんですね。色んなもの見付けて来るんだろうな。生活経験の中から探すから、子どもにとっては充実感ありますよね。荻 それで、追いかけていけばいろいろできるんじゃないかと思い始めました。教科間で連携すると、子どもたちがイキイキして学習に意欲的になるのが分かってきたので、校内で年間カリキュラムを検討するときに、各教科のカリキュラムを全部持ち寄り内容や時期を全員で見比べたんです。そしたら「社会はこんなことやってるんだ、うちこれやってるよ」「じゃあお互いですり合わせてみる?」「私が形を変えるから一緒にやらない?」「ここにあるやつをこっちに持ってくるだけから、いける」ってたくさんの先生が気付いてくれたんですよね。先生はいっぱいでも学習者は一人だから、連携させたらもっとつながって深く学べるはず、と提案したんです。大 すごく楽しそうですね、大変そうだけど……。荻 美術の授業で「今、社会でもやってるんでしょ?」とか「数学の教科書で見たでしょ?」って声をかけるだけでもいい。社会の先生は「美術の図版や資料集を貸して」って言いにくるし、「美術ではどんな問いかけをするんですか」とも聞かれました。国語の百人一首が始まるタイミングで日本文化の鑑賞などに取り組んで、国語便覧を持って来てもらうような関連付けだけでもいい。大 本当に素晴らしいですね。小学生ではどうなんでしょう。つなげた方が楽しくなりそうだとか、そういう予感はありますか?筒 そうですね。例えば算数で形の学習のとき、これが四角、これが三角ってただ教えるんじゃなく、いろんな箱を持ってきて、形遊びのようなことをするんです。するといろんな形に触れて、「こんなものがつくれる」とか「四角い箱をいっぱい積み上げて坂にしたら丸い箱が転がるね」って気付いていきます。子ども自身の感覚として、教え込まれているんじゃないんです。箱をいっぱい集めた造形遊びの中で、丸だと転がるとか四角だと積み重ねやすいとかいったことにどんどん気付いて、その経験を生かして算数で四角の特徴を知っていくって感じです。最初は四角という言葉もなくて、箱の形とかボール見て美術っぽいなと感じる単元だったんです。化学反応のあたり。「薬品の反応は美術っぽいよね、花火と同じじゃん?」とひそひそ話しかけると「え?理科と美術って関係あんの?」と様子が変わり、興味がわいたような顔をして教科書を見始めたことがありました。それからは美術の授業でも「釉薬は焼くと色が変わる」だけでなく、化学反応で変わるんだよと一言加えるようにし始めました。焼き物の縮みを計算するという数学もね。でも実際に最初に一緒にやったのは国語ですね。先生と生徒が絵の具や画材を貸してくれないかって言いに来たので、理由を聞いたらブックカバーの帯をつくっているっていうので「それ美術じゃん!」って。それで、内容を確認して、分担して連携しました。 家庭科の先生と話をしていたら、授業で地域の人のおもてなし会をすると聞いてお願いしたこともあります。快く応じていただき、最初はお皿とテーブルセッティングに使うものは美術で、地域の人への声かけや当日の料理は家庭科で分担して始めました。生徒から招待状をつくりたいといったこともあって、最終的には「美しく飾るのは美術、おいしく料理を作るのは家庭科」という観点で整理したら、それぞれの教科でしなきゃいけないことがはっきりしてきて、面白い授業になりました。大 やりながら調整したんですね。分たちで見付けてやっていくようにつながったのがすごくよかったですね。子どもから動き出しているし、私の思いともつながったなって思います。大 今、筒井先生は「すり替わってる」と仰って、荻島先生は「今だー!」って仰ったんですけど、子どもの思いと教師の願いが重なることで、学びをつなげることができたんですね。この時間は生活科、この時間は図工って分けるんじゃなく、子どもの活動に応じてそれこそ「すり替わってる」。時間での区切りではない活動の推移ですよね。画用紙を出すか出さないかというのは小さなことですけど大きな分岐点です。子どもが教科の活動を越えるところを応援していて、そういう子どもを「素敵だな」と思って見つめるのも素敵なまなざしですね。教科をつなぐと子どもがイキイキする大 学級担任だと子どもたちの活動を見ながら、別のねらいの活動にすり替えていけますけど、教科担任だとできないですよね。荻島先生は先ほど、これまでずっと取り組んでいると仰っていましたが、そもそも教科をつなごうと思ったきっかけってなんですか?荻 授業中に巡回してたとき、教室に入れないでいる子どもを連れて入ると理科の授業でした。板書を対談は更に白熱! 先生同士のつながりや保護者とのつながりまで、続きはこちらからご覧ください。大泉義一先生荻島千佳先生筒井 彩先生20 21