ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし
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図工・美術でゆたかなくらし
社会と 「美術は好きだけど、将来何の役に立つのかな?」こうした生徒のつぶやきに少なからず危機感を感じ、授業改善に取り組み始めました。 始めに取り組んだのは、美術科の学びが身近な生活や社会の中にどう生かされているかを実感してもらうための、生徒たちの身近にある「ロゴマーク」を題材とした鑑賞の授業です。好きだけど、1 役に立たない?造形的に見る視点が3深まった 「シンプルにするためには、ただ単純化すればいいのではなく、どの情報を一番伝えたいのか考えることが大事だと思った」「普段見ているマークには、デザイナーの苦労が詰まっているのだと知った」など、美術科の学びが身近な生活や社会の中に生かされ、それらの働きに気付くことのできる効果的な実践になったと感じています。 鑑賞対象となるロゴマークは、生徒たちが家から集めてきたものを使います。教師が用意したものにはない、生活感や趣向がにじみ出たマークの数々に、「何だかお菓子のマークばっかりだね!」「このマーク、私も見たことある!」と生徒たちも興味津々。その後、「集まったマークを色で分けてみよう。どんなことに気付く?」「どうしてこの字体が使われているのだろう?」と投げかけ、造形的な視点をもって鑑賞するように促しました。生徒たちは、ふだん何気なく目にしていたマークにさまざまな意味や願いが込められていることを知り、「身近なロゴマークをもっとじっくり見てみたい」という声も聞かれるようになりました。 次は表現活動です。「この街の未来のシンボルマークをデザインしよう」と題し、自分の住んでいる街の魅力や地域の特色を伝えるためのデザインを考えることで、社会とつながるデザインの意義について理解を深めていきました。 また、生徒の多くがスマートフォンを所有している実態をふまえて、スマートフォンアプリのアイコンをデザインする授業も行いました。この授業では、アプリの内容を考える人、そのアイコンをデザインする人、そのデザインを批評する人を、別々の生徒が分担して行うことで、情報を効果的に伝えるための客観的な視点や受け手への配慮の大切さを学んでいくことができました。2 身近なものから社会につなげる教師が用意しすぎない教師が用意した教材資料よりも、生徒自らが生活の中から選んできたものの方が、題材に興味をもつきっかけになるでしょう。美術と生活をつなげる第一歩として、生徒たちが「探す」活動を取り入れてみてはいかがでしょうか。生活の場に目を向ける例えば、自動販売機のある学校では、そこで売っている飲み物のパッケージを鑑賞対象にするだけで、生活の中に働く美術の力に気付くことができるかもしれません。まずは身近なところに目を向けてみましょう。“ 現在進行形”のデザインに触れるスマートフォンアプリのアイコンなど、日々更新されていくデザインを取り上げることで、今だけでなく、未来の世界に新しい価値を生みだそうと考えるきっかけをつくることも大切です。社会の中の形・色─ 街のロゴマークを考えよう─学校の“ 外” を意識させる地域のシンボルマークを鑑賞して住んでいる地域の特色やよさを再認識したり、授業で制作した作品を外部の施設で展示させてもらったりする機会をつくることで、授業での学びが外の社会とどう結び付いているのかを実感しながら学ぶことができます。私たちの身の回りには、デザインされたものが無数に存在します。美術科の授業を通して、主体的にそれらに触れることは、社会の中の造形と豊かに関わることにつながります。26 27