ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし
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図工・美術でゆたかなくらし
自分が親になったとき「自分が親になったとき、自分の国の文化を自分の子どもに伝えられる人になってほしい」という願いを伝えることは大切です。社会と美術の授業で多文化共生─ 歳時記の美・日本の美─ アジアを含む11 か国の、諸外国につながるルーツをもった子どもたちが在籍している本校。彼らにとっての外国文化“ 日本文化” を学ぶだけでなく、ルーツのある自国の文化について学ぶ機会があってもよいのではないかと考えました。日本の子どもたちも自国の文化について、本当に驚くほど知らないのが現状。さまざまな国につながる子どもたちに、自国の伝統文化を継承する意識を、美術を通して育てたいと思っています。さまざまなルーツを1 もつ子どもたちいろいろな文化があるから3おもしろい 「国は違っても、同じようなイベントがあるって思った」。どの国にも新年を祝うイベントがあり、祝い方は違うけれど気持ちは同じだと気付いた、比較的共通した感想です。 「国によって違いがある、それが文化なんだって思った」。日本のお雑煮の地域差の話や、ベトナムにも正月盆のようなものがあり地域差がある、日本以外にも習字が存在することにも気付いた子どもの言葉。 「なんでって思ってたことを知るのは面白いねえ」。お正月に松飾や鏡餅を飾る理由や、着物の柄に意味があること、おせちの食べ物に決まりや意味がある理由など、知っていそうで知らないことを知った喜びはみんな共通です。 「へー! そうなんだ!」知らないことを知るって大人も子どももやっぱり面白い!これからの社会は、さまざまなルーツや考え方の人たちとの協働が必要になるでしょう。造形を通した学びは、そうした社会を生きるための力を与えてくれます。 日本を含む諸外国の歳時記にまつわる美しいもの、自国の美しい文化だと感じるものの中で、自分が観たものや気付いたことを基に対象を選びます。なぜ美しいと感じ、何に心ひかれたのかを、丁寧にスケッチしながら鑑賞し、その背景を調べる。せめてお正月くらいは文化に関係するものを観たり聞いたりする機会が多いだろうと期待して冬休みの課題とし、新年初めての授業で発表会、という形をとっています。 新年最初の授業では、集まってきた子どもたちから順不同でプリントを受け取り、写真に撮ります。それを拡大して映し出し、その順番で発表するようにして、自然と画面に注目するようにしています。大画面に丁寧なスケッチが投影されると歓声が上がります。調べたことを基に「自分の考えを発表する」ことを決めておくと、同じような発表にはなりません。それぞれが何に美しさを感じ、どんな背景に気付き、何を思ったのかを発表し合う機会になります。2自分の考えを発表するその子にとって無理のない発表方法さまざまなルーツの子どもがいます。自国の言葉の方が伝えやすいこともあります。同じ国の子同士で協力して発表してもよいでしょう。スケッチがあれば、その子が何に注目したのかが伝わるでしょう。私のお国自慢自分の国のおいしい物や美しい物を紹介し合うってすてき。気付かずに過ごしていたらもったいない!さまざまな情報をもとに考えるインターネットで見た一つのサイトの情報だけではなく、さまざまな情報を並べ知った上で自分なりの考えをつくることを伝えましょう。なぜひかれたのか理由があるはず調べたい、知りたいには理由がある。選んだものを美しいと感じるのはどうしてだろう。色や形? 雰囲気? 何にひかれたのかを社会科の目ではなく、美術の力を通して見つめることを伝えましょう。「これが日本の文化だ」と教え込まない歳時記の行事と宗教観は絡み合っており、「こうするべきである」と教え込むことは学校教育ではできません。見たもの、気付いたこと、歳時記にまつわる美しいものの中から、自分の興味関心が湧いたものを選ぶことが大切です。まとめでは、文化は生活の中にあり、守り、守られながらもさまざまに変化しながら世界各国で関わり合っている姿を捉えることができるようにしましょう。他の先生とも共有する転勤してきたての先生や担任の先生方には積極的に見てもらい、彼らの見えない背景に気付いてもらう機会とするとよいでしょう。28 29