ブックタイトル図工・美術でゆたかなくらし
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図工・美術でゆたかなくらし
「社会に開かれた教育課程」の実践へ 以上を踏まえた上で、「社会に開かれた教育課程」の実践について考えてみましょう。 吉富芳正によれば、「社会に開かれた教育課程」を実践するための「カリキュラム・マネジメント」の要点には、三つがあると指摘しています2 )(図4)。これらのカリキュラム・マネジメントの要点は、次のようにキーワード化できると思います。 ① ?「横断」 ② ?「内外」 ③ ?「時間」 これらのキーワードから、「社会に開かれた教育課程」の実践をイメージしてみてはいかがでしょうか。図工・美術の学習と「子どもの暮らしや生活」 ここまでは、「社会に開かれた教育課程」全般について見てきましたが、図画工作科・美術科の実践では、どのように考えて取り組めばよいのでしょうか。 学習指導要領改訂のための検討材料となった平成24 年度学習指導要領実施状況調査(小学校 図画工作)における全国児童質問紙調査では、次のような結果が報告されています。「社会に開かれた教育課程」と「カリキュラム・マネジメント」 では、「社会に開かれた教育課程」は、どのようにすれば実践できるのでしょうか。 「社会に開かれた教育課程」を編成するために必要な考え方が、「カリキュラム・マネジメント」です。「カリキュラム・マネジメント」とは「各学校が、学校の教育目標をよりよく達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、継続的かつ発展的な、課題解決の営み」1 )のことです。 カリキュラム・マネジメントには三つの側面があるといわれています(図3)。このことから、「社会に開かれた教育課程」を編成するためには、一つの教科や授業ではなく、教科間や授業間のつながりに注目しながら教育課程全体で編成し、学校のみならず、地域や社会とのつながりの中で編成することが必要なことが分かります。こうして編成された教育課程の実践においては、教育活動を「編成(P)」「実施(D)」「評価(C)」「改善(A)」の「PDCA サイクル」を通してよりよい編成を目指していく永続的な実践であることが示されています。●? 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと●? 教育内容の質の向上に向けて、子どもたちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCA サイクルを確立すること●? 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること図3 カリキュラム・マネジメントの三つの側面●? 子どもの学びに着目して各教科内又は教科間で複数の活動を「つなげる」●? 子どもの学校での学びと学校外での経験や実社会、世界の動き等とを「つなげる」●? 就学前の経験と学校教育、学年間、学校段階間、学校教育と卒業後の人生を「つなげる」図 4 「 社会に開かれた教育課程」を実践するための「カリキュラム・マネジメント」の要点 「“ 図画工作の学習をすれば、ふだんの生活や社会に出て役立つ” という質問に対して、肯定的な回答をした児童の割合は、60.0% であり、前回調査(平成16 年度)と比べて肯定的な回答をした児童の割合が10% 以上高くなっている。」 以前に比べて多くの児童が、図工の学習を自分たちの暮らしや生活につなげて考えていることが明らかになったのです。 この結果から、新しい学習指導要領では、これまで鑑賞の対象として示されていた「暮らしの中の作品」を、「暮らしの中のものや造形として広く捉え、児童が自分の暮らしと関連付け、生活を豊かにすることに関心をもつことができるよう、鑑賞の方法を工夫することが重要である」として、「生活の中の形や色など」という表記に改善されました。こうした方向性は、中学校美術でも一緒です。 つまり、新しい学習指導要領では、学校で行われている図工・美術の学習と「子どもの暮らしや生活」を「つなげる」実践が求められるようになったのです。「社会に開かれた教育課程」の実践から「図工・美術でゆたかなくらし」 さらに、学習指導要領改訂の検討を行った芸術ワーキンググループは、授業場面を想定し、次のように指摘しています。 「授業の中で、なぜそれを学ばなければならないのかということを実感することについては、教員の意識としても、子供たちの意識としても弱いのではないかという指摘もなされている。このため、授業で学習したことが、これからの自分たちの生活の中で生きてくるという実感を持てるよう、指導の改善・充実を図ることが求められる。」 こうしたことから、図画工作科、美術科の教科目標図5 「図工・美術でゆたかなくらし」の考え方芸術ワーキンググループ「授業で学習したことが,これからの自分たちの生活の中で生きてくるという実感を持てるよう,指導の改善・充実を図ることが求められる。図画工作科目標「生活や社会の中の形や色などと豊かに関わる」美術科目標「生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる」カリキュラム・マネジメント ・・・ 「つなげる」マネジメント(PDCA サイクル) ●? 横断 ●? 内外 ●? 時間社会に開かれた教育課程図工・美術でゆたかなくらし6 7