ブックタイトル形 forme 302号
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形 forme 302号
之先ず見る儿目儿第五回芸術に科学を取り入れるとは!白四七%、赤四六%、青七%。日本最初の『色彩学』(一九〇七)と銘打った本にこんな数字が見えます。たぶん想像がつくでしょうが、ピンクです。当時の日本人になじみのなかったこの色名が指す色を正確に教えるための手法で、この数値はコマでも回転円盤でも同じですが、その表面に置いて混色するときの色の比率です。今日でこそ、オモチャのように扱われていますが、当時は色を測定、表示する基本的な装置として世界的に用いられていました。上掲の作品のいわゆる点描、併置混色(スーラは分割法と呼びました)も、回転混色と同じ原理によっています。ともに中間混色といわれ、できあがった色は、明るさが元の色群の中間になります。ご承知のように、絵の具の混色では元の色の数を増やすほど、出来上がった色は暗くなります。回転の場合、速度が遅いときにはそれぞれの色の位置が認識できますが、速度が速くなると各色が弁別できなくなり、前後の色が混合されて別の新しい色に見えます。点描では面積(視角)が小さくなるとやはり弁別できず、周囲の斑点の色と混合されてしまいます。小さすぎても、速すぎても視覚弁別力の限界を超えているわけですが、それらを掬い上げて混色します。視覚系には人が認識できない刺激をも処理する精巧な仕組みが具わっているわけで、錯覚で右)グランド・ジャット島の日曜日の午後[油彩/205.7×305.8cm]ジョルジュ・スーラシカゴ美術研究所蔵cThe Bridgeman Art Library/amanaimagesforme | 302 | 10