ブックタイトル形 forme 302号
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形 forme 302号
●図画工作科からキャリア教育へのアプローチ「小学校の先生になって、子どもたちに初めて出会った時に見えている景色をつくっています」題材「らいふの音」で、ある子どもが私に話した言葉です。箱の中には、右手にチョークを握る背広を着た自分を中心に、右に自分の名前が書かれた黒板、正面に窓から覗く満開の桜、左に児童の机が表現してありました。この題材は、将来の夢が叶った「瞬間」に見えるモノや人を、箱の中に立体で表現する題材です。子どもたちは普段から将来について考えていますが、いざ表現するとなると、夢が叶った瞬間に何が見えるのか曖昧だということに気が付きます。そこで、子どもたちは「どうやったらその職業に就けるのか」を調べたり、その職業に就いている方にインタビューを行ったり、仕事に使う道具や資料を見せてもらったりしながら、独自の方法で追究していきました。色や形、イメージにこだわる図画工作科ならではの、キャリア教育へのアプローチではないでしょうか。様々な方法で精一杯自分の夢に向き合いながら、生き生きと表現する子どもたち。数年後に「わあ、この景色、五年生の時にイメージしていた通りの景色だ」と、同じ景色に出合ってほしいと心から願ってやみません。奈良県奈良女子大学附属小学校服部真也●子どもたちと育む地域の美術教育私の勤務する東谷中学校の近くには「郷土館」という美術館を併設した川西市の文化施設があります。学校から歩いて行ける距離なので、土日や夏季休業中の生徒たちの活動場所としてお世話になっています。毎年、郷土館で開催する「夏休み親子工作教室」には地域の子どもたちがたくさん参加し、中学生が講師となって子どもたちの工作指導を手伝ってくれています。幼稚園の子どもたちも中学生のお兄さんやお姉さんたちに工作を教えてもらって大喜び。みんなで記念写真を撮ったり、でき上がった作品の鑑賞会も開催します。夏休みの活動としては、他にも美術館の清掃活動や日本庭園の草抜きなどに中学生のボランティア活動として取り組んでいます。また、地域の商店街が主催する「まちかどぎゃらりー」に生徒作品を出品し、商店街に展示してもらったり、川西まつりの夜を彩るランプシェード(ランタン)の制作に取り組んでいます。これからも子どもたちと一緒に地域の美術教育に積極的に取り組み、豊かな心と美術作品を大切にする気持ちを育んでいきたいと思います。兵庫県川西市立東谷中学校今北眞奈美●共に楽しむ授業新採から二校目に赴任した四月の美術部会の歓送迎会でのことです。先輩教員から、今どんな題材をやっているのかを尋ねられました。「○○をやっています」と答えたところ、「その題材で何教えるの、おもしろいと思う?」とたたみ掛けるように問われました。それまでは深く理解もせずに、ただ指導書を頼りに授業を行っていた日々でしたが、この出来事をきっかけに、学習指導要領を改めて読み返し、自ら考えて授業を組み立てることの大切さや難しさを知りました。先輩からの一言で一番衝撃的だったことが「おもしろいと思う?」という言葉でした。指導者がおもしろいと思う題材でなければ、子どもが夢中になるはずがありません。アイデアを引き出し、対話を通して思いもよらない作品を生徒がつくり上げた時が一番の喜びでした。思考や創造活動を生徒と共有する時間が楽しくて、授業づくりや教材開発に没頭しました。次第に誰も試みたことがない題材や素材活用へと進展していきましたが、一方では指導が困難で、たった一度しか試みなかった幻の課題が幾つもあったことが思い出されます。東京都墨田区立両国中学校校長菊田寛●ともに学ぶ図工・美術の先生と子どもが、ともにつくりだす学びの日々。