ブックタイトル形 forme 302号
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形 forme 302号
特集つくりだす西尾正寛×竹井史「造形教育においてつくりだされるもの」つくりだされる「思い」竹井今日は、「図画工作・美術においてつくりだされているもの」について考えていきたいのですが、私は、子どもの表したい「思い」や「願い」、「考え」が「つくるもの」を決めていくと思うのですが、西尾先生はどうですか?西尾図画工作・美術での「思い」というのは、イメージみたいなものに近いと思いますが、私が考えている「思い」は、発想までいかない「もわっとしたもの」ですね。私も含めて教育課程の中でそうしたものをすくいきれていなかったかなと思うんです。竹井発想や構想にいく前の段階ですね。「もわっとした」というのを別の言葉でいうと何になりますか?西尾う?ん……いや?、もわっとしているんですよね(笑)。よく「言葉にできないけれどつくりたいものがある」なんて言うじゃないですか。その辺りを、私たちはアイデアスケッチとしてかかせることで解決しようとしていたところがあったんじゃないかなと思うんです。竹井アイデアスケッチをかかせて、次の時間からそれを具体化していく。そこから逸脱してしまったものを「ちがうやないか」としてしまうと、もわっとした思いが死んでしまいますよね。それは、先生が「評価」を意識してしまうからですね。西尾「思い」ってもっと不定形で、ベタ?ッとしていて形がないようなもので、アイデアスケッチに表せるはっきりとしたもののまわりに染み出している滲みみたいなものも含めてじゃないかと思うんです。でもそこは見えにくくて捉えることが難しいので、評価できないというところがあったんじゃないかな。自分の反省も含めてね。竹井形と色のモヤモヤもあれば、もっと身体感覚みたいなものもある。どうしても図画工作や美術の場合は形と色に特化してしまって、それ以外の部分が削ぎ落とされてしまうところがありますね。「思い」になったかもしれない、大事な部分を。西尾大人になると、もわっとしたものを具体的に把握する力がとても大事になると思うんですよ。もわっとしたものを自分の中で多角的に見られるようになって、自分の曖昧な思考をきちんと整理して相手に渡すことができることの方が大事なんじゃないかと思うんです。「次」をつくりだす竹井ところで、ものをつくりだす基礎力について、たとえば絵の具を使った活動で、混色の指導の時間をとらずに、子どもが思い付くまま混ぜていったらたまたまいい色がきてしまった。でも、子どもの主体的な思いの中で色をつくったのかというと、必ずしもそうではないということがありますね。そこには造形表現大学教員と同時に附属小学校の校長を務める竹井先生小、中学校での教員経験を経て大学教員になった西尾先生ともに造形教育のプロであるお二人の先生に「造形教育においてつくりだされるもの」について語り合っていただいた。forme | 302 | 04