ブックタイトル形 forme No.303 教科書特集号
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形 forme No.303 教科書特集号
ルジックにも感じられる、都市のような風景に変容(メタモルフォーズ)させてしまうのです。また、観者それぞれが自身のイマジネーションを発動させ、さまざまな映像を喚起させる装置とも言えるでしょう。この作品では、点光源と呼ばれる、光が放射状に広がる性質を持つ光源を使用し、光源と対象物の位置関係が近ければ影は大きくなり、遠ければ小さくなるという原理を利用しています。作品の題名にもなっている「点・線・面」に倣えば、光源としての「点」が、運動の軌跡としての「線」によって、影という物体の断面としての「面」が生み出されています。『点・線・面』は、一九二六年に抽象芸術の祖であるワシリー・カンディンスキーが、バウハウスでの自身の講義でも使用した理論的著作の書名です。一九三〇年代におなじくバウハウスで教鞭をとっていたラースロー・モホイ=ナジが制作した《光・空間・調節器》(一九二二~三〇)は、モーターによって回転する、光を反射する金属板や透過する透明のブレキシグラスによって、周囲の壁面に運動を伴う光のパターンを投影する作品で、「光による造形」を目指したものでした。こうした作品は、二〇世紀初頭より絶え間なく続けられている、より今日的な表現技法や素材を模索するための試みでもあるのです。畠中実はたなかみのる一九六八年東京都生まれ。NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員。主な展覧会に『サイレント・ダイアローグ』(二〇〇七)『みえないちから』(二〇一〇)『磯崎新都市ソラリス』(二〇一三)など。光・空間・調節器1922~30ラースロー・モホイ=ナジ[1895~1946]「モホイ=ナジ/イン・モーション」展(京都国立近代美術館、2011年)での展示風景写真提供:京都国立近代美術館21 | 303 | forme