ブックタイトル形 forme 304号
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形 forme 304号
教育の「資源」をチェックする奥村この四つから教育の「資源」がチェックできそうですね。市川資源ですか?奥村「資源」は私の独特の使い方です。材料、用具、机、人など学習に関わる教育的なすべての資源という意味です。例えば、紙の大きさ、絵の具と筆、技法など、そういうことを四つの視点でチェックできる。そう思った理由はこの子の作品を見てなんですが、たぶん虹をかこうとして、失敗したのかな。虹のかき方は結構難しい。例えば、紙に絵の具を直接のせて、定規でぐいっとやるやり方がある。鷹野あっ、ワイパーみたいに。奥村どの程度こちらで技法を用意しておくかというチェックになりますよね。この子は筆の使い方を追求している。一枚目、二枚目、三枚目で筆の使い方が変化している。てんてんとやったり、これはひたすらくるくると。すると紙の大きさは半分くらいでよかったかもしれない。市川いくつか大きさを用意しておいて選ばせた方が、その子に合った活動ができたのではないかということですよね。鷹野単純に小さくすると、いろいろ試したり工夫したりしやすいでしょうし。奥村そういうチェックに、四つの力のカードが使えるなと思いました。うまい/へたという呪縛を解く奥村この子は自分の工夫をしっかり書いていますね。「くるくるをたくさんかいて、乾いたところに上からまたくるくるをかいた」「小さい点々をかく時に、筆をとんとんとして」とか。市川もともとこの子は、図画工作に対して苦手意識を持っているんです。いろいろ工夫していて先生はすごくすてきだと思うと言っても、自分はへただ、と言ったことがありました。奥村メタ認知がちょっと進んでいるんですね。鷹野でも市川先生が「思いに合ったものを探せばよいよ」と言葉かけをしたことで、うまい/へたではないステージで勝負できるということをこの子は見つけられたのではないかと思いますね。工夫すればよいんだ、思いをもって楽しめばよいんだというようにね。市川それはすごく感じます。カードを使い始めてから、子どもたちは失敗したとは言っても、うまい/へたという言葉をあまり使わなくなったように思います。こんなことができたとか、くるくるしたのが面白かったとか、そういう感想が多くなってきています。鷹野そこです。うまい/へたという、子どもたちの呪縛を解く意味でこの四つの力がある、というのが山梨の取り組みとしてあります。学習指導要領の願いが子どもたちに届いていく切符でもあるんですね。事実、こういう子がいるわけだ。奥村そういう効果があるのかぁ。図画工作科のフレームワークを問い直す働きがあるかもしれない。準備の話をしましたが、例えば先生が授業の準備で教科書を見る時も、教科書右上の部分は虹をかこうとしたのだろうか。題名は「はっぴー」てん、てん、てん。確かにこの子は筆を立て、穂先を使うという工夫をしていたforme | 304 | 10