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概要

形 forme 304号

第1章はじめに私はこれから紹介するルーヴル?DNPミュージアムラボのプロジェクトマネージャーとして約八年参加してきました。開発者としてこれまで実施してきたことに加え、一生活者としてルーヴル美術館から学んだことや美術鑑賞の気付きについて紹介します。ルーヴル?DNPミュージアムラボの紹介ルーヴル?DNPミュージアムラボ(以下LDML)はルーヴル美術館とDNP(大日本印刷)との共同プロジェクトです。端緒は、DNPが一九九三年に発足した「美術館メディア研究会」に遡ります。この研究会では、学芸員や研究者、先生、記者といった、美術館と深い関わりを持つ人々と共に、「情報発信」や「アーカイブ」など、「これからの美術館」を考える上で重要な幾つかのビジョンを提起しました。そこでの問題意識を具体化する活動の一つが、二〇〇六年にスタートしたLDMLです。ルーヴルの所蔵品を東京・五反田の弊社ビルに移送し、マルチメディアを活用しながら作品を鑑賞する新しい美術体験のあり方を、十回の展覧会を通じて提示してきました。ルーヴル美術館はなぜITを使いこなさなければならないのかこのプロジェクトはルーヴル美術館前館長のアンリ・ロワレット氏の「二十一世紀もルーヴル美術館が世界のリーダーであり続けるためにはITを使いこなす必要がある」との思いから始まりました。「導入する」ではなく「使いこなす」というところにポイントがあります。その根底にはルーヴル美術館が考える「作品と人のよりよい関係を構築する」という考え方があります。彼らの考え方では美術館という空間装置も、学芸員やギャラリーツアーのボランティアなどの人も、出版物やパンフレットといったツールも(今回対象となるマルチメディアも)全ては作品と人との関係をよりよくするための媒体〈メディアシオン〉なのだそうです。各メディアシオンにはそれぞれの役割と特徴があり、ルーヴル美術館はこれまでこのメディアシオンを深く研究し様々なワー鑑賞の形久永一郎大日本印刷株式会社C&I事業部コンサルティング本部IM&Sコンサルティング室室長LOUVRE - DNPNo.1c2009 Musee du Louvre / Ieoh Ming Pei / Stephane Olivier第10回展示室cphoto DNPforme | 304 | 20