ブックタイトル形 forme 304号
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形 forme 304号
クショップやツールを開発してきました。しかし、ここ数年で一年間の来館者が一〇〇〇万人を超え、フランス語を母国語としない来館者の比率が上がり、美術鑑賞の場というよりは観光の一部と考える人が増えていること、フランスであっても若者の美術離れが進んでいること等課題が顕在化してきています。解決策の一つとして、個人用の音声ガイダンスを導入してみたが、せっかく家族で来館しても解説を聞いた作品はばらばらでルーヴルに行った経験が共有されていないという新たな課題も発生していました。また、他の美術館でITが導入されているのを見かけるようになったが、どこか無機質でその場に似つかわしくないと感じることも多くありました。こういった問題に対して従来のメディアシオンだけでは対応しきれない部分が出てきていると考えたようです。当然、美術館の中にあってはギャラリーツアーやワークショップの方がわかりやすく鑑賞も深まるし、出版物やインターネットで学ぶ機会は格段に増えているわけですが、美術館という空間装置の物理的大きさの限界、来館前に持っていてほしい美術への興味や知識、ワークショップの受け入れ人数の限界があり、新しい解決するメディアシオン(=マルチメディア)を再設計することが必要でした。従って、単体のマルチメディア導入を考えるのではなく、従来のメディアシオンと連動し相互補完的に機能するように全体を設計すること。いきなり答えに到達できないことが予想され、様々なマルチメディアと既存メディアシオンとの組み合わせを試行錯誤すること。これが「使いこなす」という表現の真意でした。一つの作品を深く掘り下げる新しい展示スタイルLDMLは上記ルーヴル美術館の課題に解決策を見出すとともに、これからの美術鑑賞の考え方として、一度にたくさんの作品をざっと見るのではなく、一つの作品をじっくりと鑑賞し様々な切り口から作品を考えるスタイルをとりました。これは美術鑑賞を通じて物事を多面的に評価する力がつくというルーヴル関係者の理想を形にしたといえますし、成熟社会の鑑賞方法、マルチメディアという新しいメディアシオンの特徴を活かした手法と考えています。つづく第9回展で開発したマルチメディアcphoto DNP第7回展で開発したマルチメディアcphoto DNPDNP五反田ビルcphoto DNP21 | 304 | forme