ブックタイトル形 forme 306号
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形 forme 306号
はじめに「僕は絵が下手だから」「私は美術のセンスが無いから」。多くの中学校美術の先生が生徒たちのこのセリフに悩みながら様々な手だてを考えていることと思います。まさに、ローエンフェルドらの言うところの「表現における思春期の危機」です。発達段階における価値観の破壊と再構築の中で、自己開示することへの抵抗感と、描写表現への過度のこだわりから解放し、どんな生徒ものびのびと自分を表現する喜びを感じさせたい。「色や形で感情が表現できる」という既習事項を発展させ、発泡スチロールの板を切った形を組み合わせたり、彩色したりしながら、抽象表現で自己を投影した半立体作品を制作します。抽象表現にすることで、描写表現へのこだわりから解放できると考えました。授業実践導入では「嬉しい」「悲しい」「優しい」「意地悪」などの基本的な形から展開して、「辛くて悩んでいる形」「夢に向かって努力している形」など、複雑な感情を表す形をワークシートに描き、友達の形を黒板でシェアします。「形で気持ちを表すなんて無理と思ってたけど、友達の形を見ていると、以外と伝わる。不思議で面白いと思った」などの感想がありました。自己紹介(主題)の内容を考え、アイデアスケッチをします。この場面では多くの生徒が「考えつかない」と、苦しみます。しかし「今、自分が好きなこと」「悩み」「将来の夢」など、具体的に挙げさせていくと、生徒たちは「紹介したい自分」を見つけることができました。それでも発想に困っている生徒には、「○○だけど、××なボク」のように、人間の持つ多面性に焦点を当て発想させると安心したように手が動いていきました。アイデアスケッチを基に発泡スチロールの板を切り、彩色します。そこで生徒たちは「この部分は発泡スチロールではなく、別の材料のほうが効果的」ということに自分で気がついていきます。必要に応じて様々な材料を持ってきてもよいとしました。「この形は落ちこんでいる自分なので、ペットボトルを切ってガラスが割れたようにしたい」「夢に向かう強い魂を表す形を、金属で表したい」などと、具体的な構想が生まれます。色と形で自己紹介思春期の自己表現を抽象で東京都西東京市立ひばりが丘中学校長尾菊絵授業実践学びのフロンティア中学校2・3年生向きforme | 306 | 22