ブックタイトル形 forme 306号
- ページ
- 4/28
このページは 形 forme 306号 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 形 forme 306号 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
形 forme 306号
経験から推測して手先が惰性で動いてしまわないように脳科学者の茂木健一郎氏がテレビ番組で、何かが腑に落ちたときや、ふとしたきっかけからのひらめきによって「アハ体験」ができると話していました。私も「アハ体験」を授業で大切にしています。それは、既成概念でがんじがらめの考えを取り払い、フラットな状態で物事を考えてみることから出発することを意味します。例えば、モチーフを見て描く課題。描き進めるにつれて対象を見ることが減り、いつの間にか頭で描いている子どもがいます。リンゴはこういうものだと、今までの経験から推測して手先が惰性で動いてしまうのです。それでは目の前のものを描いているとは言えません。目の前の対象はこの瞬間にしか存在しないという尊さに気づいたとき、その特徴を描き始めることができます。私自身も、「アハ体験」を子どもたちから学ぶことがあります。例えば、あらかじめ考えていた授業の内容が、子どもたちの発見などによって別の方向に展開してしまうことも多くあります。私自身が既成概念に凝り固まっていたことを痛感するとともに、題材を考えるのにこの上ない発見になります。そのような相互の学びができる今を大切に、日々美術室で授業を行っています。私たちの経験は、生きる上で欠かせない強みでもあり、時に足かせとなることだってあります。その意味で「アハ体験」は心にインパクトを残し、自己実現に向かう原動力になるのではないでしょうか。どんなことにも先入観を持たず、心豊かに取り組んでいける人になってもらいたいと願って止みません。いつもとは違う視点で見ることで、新鮮な感動が得られます。2・3上の題材「新鮮な視点でとらえよう」forme | 306 | 04