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概要

形 forme 306号

らくがきは創造の原点「今日はらくがきをしながら、見たことのない形を生みだそう」。抽象画やイメージ画、デザインのアイデアスケッチ等では、よくこの言葉から始めます。初めは○や□のような単純な形からスタートして、変化・発展させて描いていくうちに、当初は予想すらしなかった形が生まれてきます。まさしく、形そのものが命を得て進化を始めたかのごとくに。コツは、消さないことです。前のものがなくなれば次の発展は望めませんから。これは進化論の理論と同じです。デッサンのような再現描写に自信が持てない生徒も、らくがきでは、面白い形をほめられると、はじめは紙を覆い隠すように描いていたのが、だんだん調子にのると手が大きく動き出し、身体的な動きも加わり、目が輝いてきます。自分の中の障壁になっていた何がしかを飛び越えたり、壁のようなものを突き抜けたりする感じを体験するのでしょう。生徒のこの瞬間に立ち合う喜びがあるからこそ、この仕事を続けられているようにも感じます。こうして生み出されたものは、すべて自分の中から出てきたのであり、無意識が色と形に表現されたものです。そこには、自分の知らなかった、世界に一つしかないものを生み出す尊い存在としての自己との出会いがあり、自己肯定感へつながると信じています。言葉をしゃべる前の子どもはクレヨンがあればどこにでもらくがきをします。その原初的な欲求や喜びを失うことなく、自由に表現し続けていくことが、人生をより豊かにしていくことにつながるはずです。美術の授業では、目には具体的には見えない印象や感情も表せます。2・3上の題材「心でとらえたイメージforme | 306 | 06