ブックタイトル形 forme 307号
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形 forme 307号
えるころには、すでに操作し始めている生徒がほとんどでした。授業は、画像の拡大・縮小や、重ね合わせによる比較など、デジタル技術ならではの利点を活かす方向で進められました。途中、操作履歴を残すことで、学習の参加者の経過を追いやすくし、より広がりのある対話へ繋げることができました。タブレットの通信機能によって、生徒同士や、生徒と先生とのスムーズな連携をいかに効果的に取り入れていくかも重要な要素となります。作品がない場所で、体験を通して、自分ならではの美術作品への気付きを得ることは、これまでにもさまざまな実践が行われてきましたが、道具立ての目新しさや操作の楽しさによって、生徒たちが主体的に作品とかかわり、自分なりの価値を見出しながら生徒間の自発的な対話を促していることが十分に伺われました。美術は個人の価値観が尊重される重要な役割を担う教科です。他の生徒との対話の中で他者との相違や共通点に気付き、多様な価値観を理解していくことができるという意味でも鑑賞のもつ意味は大きいでしょう。今後は、個々の生徒の中に起こった変化や成長をいかに可視化していくか、その仕組みづくりが重要な課題であろうととらえています。マルチメディアを利用した子どもたちへの興味喚起LDMLでは二〇〇九年にルーヴル美術館展示室にマルチメディアを設置し、来館者の鑑賞態度の観察調査を行いました。結果、子どもたちは最初マルチメディア操作をゲーム感覚で楽しむが、そこに終始せず、そこで気付いたことを確かめに実際の作品の前に行き、よく観察し会話が増えることが確かめられています。ルーヴル側の報告書には「多くを学んだという印象ではなく、よく見ることを学んだという感覚」と記されています。日本のマルチメディアを利用したワークショップも同様に子どもたちの興味を喚起し、持続させることができるようです。様々な心理学実験でも、興味があるときに取る姿勢(前かがみ、指さしなど)が無意識に気分を高揚させ好奇心を引き出すことができることがわかってきています。マルチメディアは、言葉では伝えきれない〝動き”を想起させたり、バーチャルながら見上げる姿勢をとることで作品の大きさを実感させたりするなど〝どうやって興味を引き出せるか?”という手法に広がりを持たせることができると考えています。cphoto DNP21 | 307 | forme