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概要

形 forme 308号

図画工作科や美術科の鑑賞学習において、児童・生徒の積極的な交流を目的とした時に、作品を「一斉に見せるか、グループで見せるか」を吟味することは、とても大切なことです。「一斉」鑑賞では、美術館での実物作品をはじめ、教室の前面に掲示したりスクリーンに投影したりした、大きめの複製画や児童・生徒の作品などを見ることになります。同じ作品を同時にクラス全員が注目して見る鑑賞となるため、教師は児童・生徒の表情を読み取りながら、全体に発問することができます。特に「対話による鑑賞」や二つの作品を比べて鑑賞する「比較鑑賞法」などに適しており、様々な感想や意見を全体の前で発表して、交流を深めるのに適した学習形態といえます。教室で行う場合、机や椅子の置き方や使用の有無、教室の照明にも気を遣うことが大切となります。次に、「グループ」鑑賞では、児童・生徒が四、五人に分かれて、一緒に手元で作品鑑賞する方法が中心となります。各個人の感想や批評を代表者がまとめて発表したり、カードゲームを取り入れてグループで遊びながら鑑賞する学習に適しています。これらは、全体の前で発表するよりも個々が気軽に話すことができるため、多様な見方で交流しあうことを目的にした授業に向いているでしょう。いずれにしても鑑賞では、作品の細部が明瞭に見えることが大前提になります。実物作品は別ですが、質のよい複製画の提示を心がけましょう。そのような意味で、質のよい複製画の見られる教科書掲載作品の積極的な活用を望みたいところです。交流する鑑賞編文新関伸也滋賀大学教授イラストdanny15 | 308 | forme