ブックタイトル形 forme 308号
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形 forme 308号
之先ず見る儿目儿第十一回感じと袋小路とアナロジーいまぼくの目の前には象の形の貯金箱とマグカップが置いてあって、卓上ライトの光に照らされて、けっこういい感じです。色合わせか、形のバランスか、それともぼくの気分によるのか、ともかく、いい感じです。しかしこのいい感じって、なんなのでしょう。と、こういう具合に美術も楽しめると思うのです。意味のない気まぐれな机上の配置にふと見入るときのように、目に見えている調子というか、雰囲気というか、いい感じの「感じ」にあたるところを、ていねいに目の中で転がしてほしいわけです。今回は、このあいまいな「感じ」の、ごく微量のエネルギーの観測方法を考えてみることにします。美術を見るという、刺激がとても小さい感覚を味わうことは、人によってはなかなか耐えられません。正座で足がしびれるみたいに、目はじっとしていられない。モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」は、むしろそんなせっかちな目にはありがたい作品かもしれません。何しろエピソードがたくさんあるのです。まず、これは作者の人生最後の完成作。三年前の一九四〇年、戦火を逃れて米国に亡命してきた七一歳のモンドリアンは、ニューヨークの都市風景と、リズミカルな大衆音楽に骨抜きにされてしまいました。その集大成がこの作品。タイトルもわかりやすい。縦横のラインはマンハッタンの街並み、彩りブロードウェイ・ブギウギ[油彩・キャンヴァス/127×127cm]1942 ? 43ピエト・モンドリアン[1872 ? 1944]ニューヨーク近代美術館photo:UNIPHOTO PRESSforme | 308 | 16