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概要

形 forme 308号

はじめに「(彫刻作品を見て)ねえねえ、これ何でできているの?」「(油絵を見て)これって私たちが使っている絵の具といっしょ?」「(リトグラフの作品を見て)これも版画なの?どんなインクを使っているんだろう」図画工作の指導で、美術作品の図版を使ってアート・ゲームをしたり、話し合ったりしていると聞こえる子どもたちの発言です。興味深く作品を鑑賞していますが、一方で、美術作品はどこか非日常のものであり、特別なものとしてとらえている気がしています。特別なものだからこそ意欲的に「見る」のだと思っていますが、特別なもの故に学んだことと子どもたちの日常が繋がりにくいのではないかという印象もあります。授業の中で見た美術作品と、廊下に飾られた自分たちの作品や教室に飾られている花、使っている筆箱のデザインは子どもたちにとって別物であることが多そうです。授業実践導入で本題材は、与えられた四角形のカード(はがき1/3程度)を、自分で選んだ場所と同じ色に着色したり、同じ模様をその形や色などを慎重に見ながらかき込んだりして隠してしまうという活動を楽しむ、表現と一体化した鑑賞の題材です。カードを隠すために絵の具やコンテ、色鉛筆などを工夫して使いながら表現する中で、何度も形や色などの造形要素と対峙することができます。活動内容を提案した後、絵の具とコンテ、色鉛筆のそれぞれの特徴を話し合いしつつ、子どもが気づいていない点については指導します。話し合いが終わると部屋の中や廊下を慎重に見てまわり、場所選びをします。建物の中ですから人工的に着色された場所が多いのですが、そこに付いている模様や汚れ、傷などもじっくりと見ていました。場所が決まった子どもから、パレットに絵の具を出し始めます。そしてまるで「挑む」ように絵の具を混色していきました。活動の様子「白だと思ったけど、少し黄色っぽいな」「凸凹があるからその影で少し暗くなるんだな」子どもたちは場所の色や模様を見ながら材料を選び、工夫しながら表現をすすめていきました。1場所の色や模様などを見る2パレットの絵の具の色を見る3混色してできた絵の具を付けた筆先を見る4筆先を選んだ場所に近付け交互に見る5決心したようにカードを着色する6カードを場所にあてがい、にっこり笑ったり首をかしげたり、またそばにいる私や友だちに意見を求めたりするといった様子が見て取れます。これが、絵の具でなくコンテであれば削ったりすり込んだりして、同じようなことを繰り返します。どうしても選んだ場所の様子に近付けないときには、アドバイスを求めてくる子どももいました。そのときは私も一緒に考えます。また、よく似た場所カードをかくせ!京都光華女子学園光華小学校宮川紀宏授業実践学びのフロンティア5・6年向き表現と一体化した鑑賞のススメforme | 308 | 18