ブックタイトル形 forme 308号
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形 forme 308号
●子どもの言葉から「先生のあの授業おもしろかったなあ。あれを超えるのは、まだないねん」その授業をして一年後に、ある子どもに言われた言葉でした。この子どもは図画工作の授業があると、最後、図工室を出るときに「今日のはおもしろかった」とか「これはいまいちだった」など、いつも授業について感想を言ってくれていました。簡単な言葉でしたが、「そんなこと思っていたのか」と授業をふり返り、見つめ直すよいきっかけになっていました。その最後の振り返りが、最初に書いたあの言葉です。子どもたちがどんなときにおもしろいと感じるのか、逆にいまいちと感じるのかを、子どもの活動中の様子や会話を分析して、次からの授業に生かしていくことを大切にし、これからもどの子どもたちも楽しむことができる授業をめざしていきたいと思います。そして、この子どものように一つでも心に残る授業ができれば教師として幸せなことだと思います。大阪府堺市立野田小学校中野貴之●一人ひとりの意欲で張りつめた教室中三の美術の授業、透視図法を用いた平面構成の色塗りの時間。美術室には、筆洗器で筆を洗うカラカラという音のみが心地よく響いています。一様に背を丸め、黙々と色塗りに取り組んでいる四十名の生徒たち。その中で、曲面を分割し、グラデーションを用いて円柱形の立体感を表現している生徒が、しばし手を止め、目を細めて自分の作品を眺めています。近くにより「どげんね?」と声をかけると、嬉しそうににっこり。次の瞬間には、また、画面に向かい色塗りを進めていきます。こうした、一人ひとりの意欲で張りつめた教室にいると,美術の教師でいることの喜びが込み上げてきます。授業が終わり、片付けの時間。先ほどの生徒の作品を囲って、小さな鑑賞会が開かれています。「すごーい。きれーい」という声に誘われ、鑑賞者の数が増える中、照れくさそうに、満足げににっこり笑う作者の生徒の笑顔に、また喜びが込み上げてきます。福岡県P.N.美術のせんせい●私と美術と生徒「人は、この世界を美しいと感じる時、生きる喜びや生命の大切さを感じる。一方、美しいものは、それを感じとる心がある分だけ、存在する。だから、美しいと感じる心をもちたい」これが、私が美術を学び、美術教師になった理由です。そして、今、退職を前に振り返ると、美術と生徒から学んだことが自分という人間の多くを形づくっているように思えます。美術は、答えや正解が予め決まっていないから面白いのです。生徒がどんな答えを出してくるのか考えながら教材研究をするのもワクワクしてきます。出会わせたい題材、出会わせたい材料や技法を見つけ、生徒がたどりつく答えを私自身が一番楽しみにしていたのかもしれません。一方、作品に喜びや生き生きしたものが感じられないとしたら、それは、描かされたもの、つくらされたものにすぎません。そこで作品の優劣を評価しても虚しいだけです。美術教師は、存在意義と生徒が美術学ぶ意味を問いながら指導に当たりたいものです。神奈川県厚木市立睦合中学校校長小川朋子●ともに学ぶ図工・美術の先生と子どもが、ともにつくりだす学びの日々。forme | 308 | 26