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概要

形 forme 309号

美術館で作品を鑑賞の最大の魅力は、実物作品を肉眼で見たり、触れたりすることが出来るところです。つまり、本物に出会い、味わう場が美術館です。このオリジナルにしか出せない作品の雰囲気や魅力を、W・ベンヤミンは「アウラ」と述べています。これは複製から感じることはできません。印刷や複製画からは、大きさ、色や形、材料やテクスチャー、立体の見え方の違いはわかりません。さて、魅力溢れる本物を前にしながらの美術館での鑑賞では、以下のような鑑賞がお勧めです。まず、一つ目は美術館で開催している「ギャラリートーク」に参加する方法です。作品を前にして、学芸員や教育担当などの方がファシリテーターとなって、鑑賞者と対話しながら鑑賞を深めていく進め方です。他の鑑賞者との見方の違いも楽しく、また作品や作家について、直に解説を聞くこともできます。二つ目は、学級などグループの仲間と一緒に、あらかじめ作品や作家について予備調査をして臨む鑑賞です。美術館で鑑賞しながら、予備調査の疑問や課題を明らかにする学習で、いわば課題解決型の鑑賞法となります。そこでは教師の観点によるワークシートや子供たちがまとめた予習レポートなどの活用も考えられます。そこでは美術館での学習活動のねらいを明確にして鑑賞を深めることになります。また、事前の学習が難しい場合には、美術館で準備している鑑賞シートや作品についての解説、またクイズやスタンプラリーカードなどを使用して、手軽に鑑賞する方法もあります。いずれにしても生涯において美術館が身近な存在となる原点は、小中学生の体験にあると言えるでしょう。美術館での鑑賞編文新関伸也滋賀大学教授イラストdanny13 | 309 | forme