ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

形 forme 310号

映像に対する感覚の不思議アニメーションはなぜ動いて見えるのか、その原理を教えてください。津堅ノートの隅などに連続した絵を描いて、素早くめくると動いて見える「パラパラマンガ」で遊んだ方は多いでしょう。これがまさに、アニメーションの原理です。少しずつ描写を変えた画像を連続表示すると、目の錯覚で動いて見えるわけです。一般論としては、一定時間あたりの画像数が多いほど滑らかな動きに、画像が少ないとカクカクとしたぎこちない動きになると言えます。画像数がどれくらいあると滑らかに見えるのでしょうか。津堅一秒間あたり八?十二枚の画像があれば、多くの人にとってスムーズに動いて見えます。映画やアニメなどの映像は、一秒間あたり二十四コマの画像で構成されていますが、二十四コマすべて異なる絵を描いていると大変なので、フルアニメーションと呼ばれる滑らかに絵を動かす場合でも、十二枚(同じ絵を二コマずつ使う)が主流です。ディズニー映画などがそうですね。日本のテレビアニメは、十二枚もしくは八枚(三コマずつ使う)が主流ですが、これら異なる作画法(絵の枚数)をキャラクターの演技の内容で複雑に使い分けるのが特徴です。しかし人間の感覚というのは不思議なもので、フルアニメーションは滑らかすぎて逆に違和感を覚えるという人もいます。また近年、あえて画像数を一秒間あたり三、四枚に減らしたシーンを取り入れるクリエーターも現れています。粗い動きが、疾走感、ダイナミックさ、コミカルさなどを演出できると考えてのものでしょう。こうしたテレビや映画のアニメーションを見る際、私たちの関心はストーリーやキャラクターに向きがちですが、それが生きるのも「動き」があってこそ。動きがどのような印象や効果を生むのか、アニメーション研究家の津堅信之さんに聞きました。座ることを拒む椅子暴れる椅子かまってもらいたい椅子いじける椅子動きを味わう鑑賞A Chairy Tale c1957 National Film Board of Canada. All rights reserved forme | 310 | 10