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概要

形 forme 310号

私たち「パンタグラフ」は広告のアニメーションをつくることが多いです。PRする商品やサービスのテーマに合わせて、どういう雰囲気の作品にするかを考えることから始まります。アイデアは、全員で集まってどんどん出すようにしています。テーマが同じでも、人形を動かすのか、切り紙を使うのか、身の回りの道具が動くような感じなのか、ゲームの画面のように見せるのかなど、アニメーションの表現方法はさまざまにできます。クライアントによっては、いろいろな国や言語の人が見るものという条件を受けることがありますが、言葉を入れず多くの人に伝わるように表現するのは、アニメーションが得意なことかもしれません。簡略化しながらも、商品自体を動かすことで見せられる部分もあるので。次に制作にかかる時間や予算、自分たちの得意分野なども踏まえて、案を絞ります。アイデア段階では展開のポイントだけを考えますが、一つの案に決まったら、ポイントの前後の場面をふくらませていって絵コンテを描いて映像の展開を固めます。絵コンテで大切なのが、場面が引きなのか寄りなのかと、登場人物の大きさ出し。これくらいの大きさだなとなったら、それをカメラで見た時にどのくらいまで背景をつくるべきか、シミュレーションができます。背景をつくるには時間がかかるので、引きばかりだと大変です。なるべく、一つの背景の中で引きと寄りを使えるように考えますね。材料は表現に合わせて毎回選びます。私たちがよくやるのは「アリモノ」と呼んでいる手法で、身の回りの日用品などを材料に流用します。例えば、醤油差しのふたをロボットの頭に見立てて使ってみる。自分の頭で考える以上のものが外にいっぱいあるので、それを利用したり組み合わせたりすれば映像にリアリティが出るし、一から考えるより時間も短縮できます。ちょっとした動きやしぐさで感情を吹きこむ人形のデザイン決めと並行して、ストーリーの中でどう動くのかも考えていきます。動きで大切なのは、登場人物が何を考えて、どんな気持ちなのかをわかりやすく表現することです。クライアントから、かわいらしいキャラクターを、と要望が出ることがあります。けれど私たちは「動きだけでかわいくできますよ」と提案します。これはアニメーションならではの利点です。動きを考えるには、自分で実際に動きをとってみます。例えばびっくりした時どうするか。両手を挙げてのけぞる。ひじが曲がらないと万歳に見えてしまうと気づく。そこで人形のひじが曲がるように、デザインを修正します。forme | 310 | 14