ブックタイトル形 forme 310号
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形 forme 310号
私たちがよくモチーフにするロボットだと表情がありません。感情がわかりにくそうですが、逆に人間ほど直接的ではないので、見る人が「これは怒っているのかな、悲しんでいるのかな」と主体的に想像できるとも言えます。例えば、手足をバタバタするだけで怒っている様子になります。体の角度だけでも、前に傾けばのぞきこむ様子、後ろに傾けばいばっている。ほんのちょっとの角度の違い、動きの大きさの違いで表情がつくのです。物理法則で動きにリアリティを味つけ動きのメリハリをつけることも強く意識します。例えばものが移動する時、写真を五〇枚撮ることもあれば、二枚で済むこともあって、印象はまったく変わります。その組み合わせが大切で、動きはじめは少しずつ進んで、速くなって、止まる前にはまたコマを増やして減速するように見せます。メリハリをつけると面白いのですが、説得力がないといけません。私たちがそのためにルールとして意識しているのが、ものを投げた時の「放物線運動」です。放物線が間違っていないか、その速さも一定ではなくて、高い位置では減速、落ちるにつれて加速させるということを意識します。もう一つが「ゆり戻し」と呼んでいる法則です。ドアが勢いよく閉じた時、反動で少し戻ってきますね。この力が加わった時に跳ね返るという物理法則のことです。私たちは机の上のものなど、実際には動かないものがひとりでに動く、という作品をよくつくります。その動きが自由すぎると実感がもてないのではないでしょうか。ものの大きさや重さを想定してゆり戻しを表現することで、動かないはずのものが、画面を通さずに見ても、実際にそこで動いているかのような印象につながると思います。見る人の体験や見たことのある動きと重なると、実感がわくということもあります。例えば、恵方巻きの由来を説明した作品で、巻き寿司を方位磁針の針に見立てて、その年の恵方(方角)を指す演出を考えました。方位磁針ははじめに大きくぶれてから、一方向を指しますよね。巻き寿司の動きもそれにならって、止まる前に左右に細かく振れるようにしました。もちろん、巻き寿司を本当に回転させたら同じように動くかというと、そうではないと思います。ですからテーマに合わせて「実際にありえそう」という印象を演出していると言えます。物理的な法則を守りつつ、違和感がないメリハリをつけることが味つけになるのです。撮影では、撮りながら「この動きは形を動かせ特集60秒でわかる恵方巻講座[カラー・1分]201315 | 310 | forme