ブックタイトル形 forme 310号
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形 forme 310号
全ての造形活動を支える観察力。対象の細部を捉えたいとき、あるいは全体の形や動きを大きく捉えたいときにも観察力が求められます。その後者の観察力を育むために、毎授業始めの五分間、少ない時間だからこそ細部にとらわれず対象の全体を捉えられるクロッキーを繰り返し行うことは効果的です。班活動で観察する意識を引き出す人物クロッキーをする場合、生徒に対象の全体を観察する意識をもってもらうためにはどのような場の工夫が必要でしょうか。私の経験では、生徒を六?七人程度の班に分け、各班の実施場所をできるだけ広く確保するのが効果的でした。生徒が重ならずにモデルを囲むことができ、やや引いた位置からモデルの全身を観察することができます。また、班の中でモデルをする順番を決め、生徒にポーズを考えさせるのも良いでしょう。ある生徒は五郎丸ポーズ、またある生徒はジョジョ立ちなど、自分で決めた自由なポーズをとっています。生徒がポーズを工夫し合うことで、楽しみながら体全体を観察する意識をもつことができます。全体で観察の視点を共有するただ描かせても生徒の観察力は伸びません。教師が観察の視点を示す必要があります。実施中、教師は各班を回ってアドバイスをしながら多くの生徒に共通の課題を探ります。そしてクロッキー終了後、その課題を全体で共有します。例えば、全身のプロポーションに目を向けさせるために、頭、肩、腰、足などの位置関係を点で捉えながら実際に黒板に描いて見せたりします。この全体で共有した視点は、生徒が次回のクロッキーで意識するポイントとなります。このように視点の共有と実践を繰り返すことで、たった五分のクロッキーでも生徒の観察力は大きく向上します。人物クロッキー編文中西一洋東京都立両国高等学校・附属中学校教諭イラストLuis Mendo17 | 310 | forme