ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

形 forme 310号

之先ず見る儿目儿第十三回おばけがでるところおばけはなぜ決まって夜にでるのか、ご存知ですか。人が活動する日中と夜とでは、世界が異なるからです。多くの人が眠り、その支配力が弱まった世界だからこそ、人と異なる存在が力を発揮する。昼と夜の差が、おばけという現象を生むのです。宇宙人からすれば私たちが宇宙人であるように、おばけから見たら私たちの方がおばけであるわけですから、要するにその差が、おばけであるというべきでしょう。いっそ、別々の世界がすれ違う境目のことを、私たちはおばけと呼んでいるのだ、といった方がいいかもしれません。ジョアン・ミロの作品には、まさしくこの境目としての「おばけ空間」がよく登場します。蛇とか星とか微生物とか、あるいは内臓のような、たくさんの形。おばけを感じさせるのはその姿でしょうか?いえ、窓や床の属している世界と、うごめく形の属す世界が明らかに異なる点でしょう。形よりも差異によって、絵の中に無重力が生じています。これを踏まえて、左の写真をご覧ください。標本のよう、というか、とにかくいろんな「種類」が集まっています。大/小、長/短、男/女、和/洋、笑顔/すまし顔、立つ/座る、動く/止まる、手前/奥、正面向き/横向き……。どの要素も散らばっているのに、いや散らばっているからこそ、支え合って統一を作り上げています。バランス、という言葉がアルルカンのカーニバル[キャンヴァス・油彩/66×93cm]1924-25ジョアン・ミロ[1893 ? 1983]c Successio Miro-Adagp,Paris & JASPAR, Tokyo, 2016 G0384forme | 310 | 18