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概要

形 forme 310号

プロジェクトの概要鑑賞教育について協議するだけでなく、教員の指導力向上をねらいとした実技研修会を行いたいと考えていました。そこで、美術館や学校などと連携して美術鑑賞プログラムを多数行っている認定特定非営利活動法人芸術資源開発機構ARDA(アルダ)の小口弘史氏の助言を得て、立ち上げたプロジェクトです。昨夏のアートカードと対話型鑑賞の研修会には、高校教員を中心に二十二名が参加しました。多様な視点を盛り込んだ研修会今年一月の研修会では三井記念美術館の協力の下、実際の美術館の展示室で対話型鑑賞を行いました。「自ら美術館に足を運ぶ生徒を増やしたい」という希望をもつ教員は多いですが、教員自身が多忙で美術館や外の情報に目を向ける余裕がないという現状があります。まずは今回の研修会を通して、授業で美術館・博物館を活用する方法を実際に体験しながら知ってもらうことをねらいとしました。絵画以外でも対話型鑑賞の対象になることを実感してもらうために、茶碗・能面・屏風を選びました。ファシリテーターは高校教員・ARDAのスタッフ・美術館教育普及担当という立場の異なる三名が担当し、多様な視点や問いかけのしかたがあることを感じてもらえるよう工夫しました。例えば美術館の方は、屏風を前にして「何が描かれているでしょう?」ではなく「どこに置いてあったでしょう?」という問いかけをなさっていました。本来屏風は調度品として使用されていたということに着目し、置かれていた場所について考えさせる問いかけをされているのを聞き、視野が広がりました。今後の目標今回の研修では、東京都の高校教員だけではなく他府県の教員や教育関係者にも呼びかけを行い、多数のご参加をいただきました。今後も、地域や学校という枠を超えて、全国の鑑賞教育を実践されている方々と連携していきたいと考えています。また、研修会で学んだ経験を基に高校生にアートカードを体験してもらい、その高校生が進行役となって地域の中学生にアートカードの実践をすることを検討中です。「よき鑑賞者を育てる」という目標に向かって、計画的に一歩ずつ行っていきたいです。東京都高等学校美術工芸教育研究会鑑賞教育プロジェクト文:森田真理子(東京都立本所高等学校)写真:ただ(ゆかい)forme | 310 | 28