ブックタイトル形 Forme 311号
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形 Forme 311号
はじめに日頃から授業を行う中で、こちらの示した題材に対して、生徒たちがそれ以上に驚くような発想力や感性で授業をより豊かなものにしていると感じています。そして、その豊かな発想力をさらに伸ばすにはどのようなアプローチが可能か考えた末、ひとつの題材に行きつきました。それは、一枚の絵を動かすと、どのように動くかを考えるアニメーション題材です。以前、アニメーション授業を行う前に、玉虫厨子の異時同図法やゾートロープを題材に動きと時間の表現を行っていました。特にゾートロープは本題材の原型となるもので、自分が描いた絵が動く驚きや感動を味わうことができました。しかし、ゾートロープはその特性上、エンドレスであるということです。あるとき、そのことに困惑してしまう生徒が「エンドレスではなく、この先のストーリーを考えたい」と言ってきたことがあり、それがきっかけとなり本題材がはじまりました。しかし、どうせ行うなら、一人だけで終わるものではなく、コマをつなげることができるアニメーションの特性を活用し、隣り合う人同士つなげることができたら…、と考え本題材がはじまりました。本実践の前に行ったことアニメーションの授業を行う前に、はじめに行ったことは、いきなりコマ絵を描くのではなく、抽象的な形を見てこれが何に見えるかという「見立て」の発想を広げる練習を行いました。そして、それを一コマ目とした簡単な四コママンガを制作し、ストーリー展開や描写の面白さを高める機会としました。それは、その後のアニメーションおける発想力やストーリー展開における見通す力を身につけるためです。『ルビンの壺』にも代表されるように、黒い部分を見るのか、白い部分を見るのかで形や見え方が大きく変わることを実感させ、繰り返し同様の練習を行い、次に、その見立てを活用し、四コママンガに挑戦し、一コマ目に抽象的な図をどのように見立て、それが二コマ目以降どう展開されるのかを考え、構成力と見通す力をつける機会としました。それらの練習を経て、ようやくアニメーションに取り掛かりました。授業実践導入にあたり、鉄拳のアニメーションを鑑賞し、動きの変化や描写など使われている技法を観察、研究しました。そして、班ごとに気づいた技法や動きについて発表し合うなど、どのような効果があったのかを全員の共通理解としました。そして、いよいよ本番。一人一セットクリアファイルを配り、その中に入っている一コマ目と最後のコマの抽象的な図形を基に、その間の部分を描いていきます。ひとり十コマとしましたが、どうしても細かくなってしまう生徒には、コマを増やすことも行いました。こちらで用意したはじめと最後の指定した図形は、その前後の人と同じで、それぞれ描いていくことで、隣り合うアニメーションがつながり、クラスで一つの作品が仕上がります。さらに、クラス同士をつなげ、学年でひとつのアニメーションにもなります。ここには、前後の人との相談や構成を工夫するなど、今まで行ってきた練習が生かされます。アニメーションでつなぐ心の輪絵を動かしてストーリーをつくる神奈川県厚木市立睦合中学校森元勇気授業実践学びのフロンティア中学校2年生向きforme | 311 | 22