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概要

形 Forme 311号

視線と身体の動きに着目する子どもは小さな絵に没頭したり、全身を動かして描いたりと様々な描き方で絵を描くことに夢中になります。また、その構えも座ったり立ったり、壁や黒板に対面したりと様々です。絵を描くことは、身体を使い、画面や材料、用具と働きかけ合いながら物事を探究する経験です。この経験を豊かにするために、今回は子どもが絵を描く姿に着目して活動の場づくりを考えたいと思います。まず、椅子に座り、机に向かっている子についてイメージしてみましょう。体はやや固定され、視線は画面に近いところから見下ろし、視界は焦点化されやすくなります。絵を描く動きは、肘や手首、指を中心に水平方向に軌跡を描く範囲に概ねおさまります。こうした構えは小さめの用紙や端紙などに細かく集中して描くときや、手先で紙の置き方を試しながら描くときなどに向いています。一方、机や床、壁などに向かって立ったり中腰になったりすれば、画面との距離は取りやすくなり、俯瞰できるようになります。肩や腰、膝や足首など、多くの支点を使い、大きな動きや複雑な動き、移動の動きなどが得られるようになります。こちらは、長さや大きさのある紙にのびのび描くときや、スタンプ遊び、絵の具遊び、クレヨンのような描画材に体重を乗せて描くときなどに向いています。共同で活動するときにも良いでしょう。絵を描く子どもの姿に着目すると、場の役割が見えてきます。これを手掛かりに、題材のねらいと照らし合わせながら、子どもの活動を促す場づくりを考えてみるのも楽しいことです。絵を描く場づくり編文名達英詔北海道教育大学教授イラストLuis Mendoforme | 311 | 28