ブックタイトル形 forme 312号
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形 forme 312号
がありますね。それは抽象画と壁紙の成立ちを考慮しないからですが、パロディはそれと同じく、あえて作品の成立ちをスキップして表面だけを真似るのです。そこでパロディが真に対立するのは、標的にくっついたオリジナリティという考え方です。外観でオリジナルかどうかを判断するならば、外観を真似するパロディは泥棒のように思えます。けれども、そもそも作品がオリジナルであるかどうかを、外観だけで判断すべきでしょうか。それこそを、パロディは問うています。 さて、まさしくパロディと呼べる横尾忠則のこの作品。ここでは、社会に流通する商標などを次々に作品に取り込んで、一般的なオリジナリティの考え方にこだわらないポップ・アートの態度が、「芸術品」ならぬ「芸術貧」と呼ばれています。表面的に同じに見えても、成立ちが異なるならば別の作品が生まれ得る――それを堂々と宣言するところにこの作品の、またはパロディの意義があるのだと思います。ちなみに亀倉雄策は、このパロディの的確さから、抗議しなかったというエピソードが残っています。 法に照らしてアウトかセーフかを考える時点で、すでに私たちは法の考え方、つまり外観だけで作品を測る観点の虜にあるといえます。作品がどのようにして成り立っているか。それはこの連載でずっと意識してきたことですが、その観点をあえて除去するパロディは、「まず見る」ことの広さを反省的に考えるのに最適の材料であるといえるでしょう。成相 肇 なりあい・はじめ東京ステーションギャラリー学芸員。一九七九年生まれ。府中市美術館学芸員を経て、二〇一二年から現職。主な企画展に「石子順造的世界」、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン」など。POP でTOP を! [22.6 × 14.9cm]1964 頃 横尾忠則[1936 ~]「パロディ、二重の声――日本の一九七〇年代前後左右」(東京ステーションギャラリー ~ 4 月16 日)にて展示中13 | 312 | forme