ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

形 forme 312号

 金竜小学校の中島綾子先生の実践「まぼろしの花」では、花をかく活動に入る前に行った、「花についてのイメージを話し合い」「紙粘土で花の種をつくる」というプロセスの中に、子どもが自然に自分の中でイメージをふくらませられるヒントを見ることができました。 授業の流れをたどりながら、先生のねらいや、どのような手だてをされたのかについてお話を伺いました。「まぼろし」を思いえがく この題材は「花」をかくというテーマがはっきりしています。でも、ただ花をかくのではなく、「まぼろしの花」なんだという期待感をもって想像してほしい。このようなテーマが強い題材の場合、はじめはぼんやりとしていても「不思議な感じ」「暗い場所で咲いている」「光り輝いている感じ」といった自分なりのイメージをもつことが大切だと考え、導入で子どもたちとまぼろしの花とはどんな花なのか話をしました。手を動かして見つける形 想像してかくといわれても、自分だったら何をかいていいのか困ってしまうのではないかなという思いがありました。具体的な形は、実際に手を動かしながら出てくるもの。種をつくるならそんなに抵抗感はないはずです。紙粘土を選んだのは、触るのが楽しく、カラーペンで色がつけられて手軽にできるからです。そんなに凝らないで、ただの丸い形だっていい。紙粘土を触っているだけでも偶然に形や色が出てくるので、できた種が花を想像するきっかけになるのではと考えました。つくったものから離れる時間 種をつくったあとすぐかくのではなく、一週間おきました。こうして時間をおいて、次の授業で改めて自分がつくったものを目の前にすると、少し客観的に見えてきて「もっとこうしてみよう」と、また違ったものが生まれてくるおもしろさがあります。でも全く見ずにおくのではなく、一人ひとりの種をパッケージして図工室前にかけておきました。それは、廊下を通るときに自分や友だちの種をちらっと見て、「次は花をかくんだな」という期待感をもってほしいという思いがあったからです。これも子どもがテーマに入り込めるようなしかけのひとつです。じわじわと花をかく 前の週につくった種から芽が出て育っていくことを想像しながら、指でかきました。筆を使わなかったのは、少しずつしかかけないからです。その間に、次はどう成長させようかと考える時間ができる。絵の具を指でのばすだけでも新鮮でおもしろいし、絵の具の感触を感じることでかく線も変わります。徐々にイメージができてきたら、細かい部分は筆でかいたりなど、表したい感じに合わせて自分で決めるようにしました。 「まぼろしの花」というのは単に形や色がおもしろい花を考えるのではなく、もっと自分の感覚をひらいて、自分らしい形や色を探って表すきっかけとしてのテーマです。絵に入る前から段階をふむことで子供たまぼろしの花東京都台東区立金竜小学校 中島綾子文?伊部玉紀授業実践学びのフロンティア小学校3・4 年向き想像をふくらませるきっかけを散りばめてforme | 312 | 14