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概要

形 forme 317号

 物資が不足していた時代には貴重品だった布。年月を経てほつれや破れが生じた着物は、布が当てられ刺し子されて、長年にわたって受け継がれている。あるものに手を加えて使い続けることで、新たな存在感と美しさが生まれ、独自の命が吹き込まれる。襤褸は「ぼろ(BORO)」とも呼ばれ、世界でも通じる美として認知されている。作してきた。手先は器用じゃないのだが、小学校時代、図画工作の成績はよかった。もともとモノづくりが好きだったのかな。人類は手から進化したという。直立歩行を始めた四〇〇万年前の御先祖の脳の大きさはチンパンジーなみだったが、手の構造は現生人類に近かった。手を使って作業していると新しい研究案を思いついたりする。私は手を使って考えているようだ。傳田光洋/一九八五年京都大学工学研究科修士課程修了。京都大学工学博士。カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員を経て、二〇〇九年から資生堂ARC 主幹研究員、二〇一〇年から国立研究開発法人JSTCREST 研究者を兼任。 工作とは、「工夫して作る」の略だと思う。それは「何を作るか発想し、どういう方法で作るか、とにかくトライ&エラーしてみる」ということだ。そのためには、国語・算数・理科・社会などで学んだ知恵をフルに使い、ああでもない、こうでもないと手を動かして一つのものをつくりあげる「総合力」が必要だ。ときには失敗もするが、失敗こそ「総合力」を身に付ける肥しになる。「総合力」は社会で生きていくために重要な要素だが、最近は工作の授業が減り、たて割りの学科が増えているらしい。なんだかとても重要な要素を削っている気がしてならない。土佐信道/芸術ユニット明和電機。様々なナンセンスマシーンを開発しライブや展覧会など、国内外で広く発表している。音符の形の電子楽器「オタマトーン」などの商品開発も行う。社会で生きていくためのトライ&エラー襤褸らん る必要なものを、あるものを組み合わせてつくる・・自分が思ったこと、考えたことを形にできる学習でした。イメージしたことを、とことんこだわる力がつきました!答えは自分にあることが分かりました。だからこそ難しくて、適当にしちゃいけないなって思いました。「なんで、その形にしたんだろう。」「なんでその色を選んだんだろう。」と観るようになりました。美術館に行くのが好きになりました。言葉より絵で会話するように、世代や国籍を超えて美術を通して人とつながっていけるようになれたらうれしいですね。(forme316ラフスケッチより)自分で考えるのが難しいときもあったけれど、どの題材も自分で考えきれたことが自信になりました。指先から始まるモノづくりでんだみつひろ傳田 光洋さん土佐 信道さんとさのぶみちピンクが好きでもいいんだと思えるようになりました。⑪ forme No.317 小中 高 みんな「感じる」「試す」「つくりだす」ことを繰り返して、たくさんの学びを実感しているんだね。子どもたちがワクワクするような未来をつくりだせるように、これからも頑張ろうっと。