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概要

形 forme 319号

全国美術室探訪▲個々の気付きや失敗、答えなどをまとめる『ポートフォリオ』は、3年間にわたる成長プロセスの記録。▲ 教室入り口に看板を置き、生徒・保護者・教員に進行中の授業のテーマや取り組みを発信。▲『   木材の比べ方見本』は、実際に手で触れ、においを嗅いで木材選びができる、アイデア満載のオリジナル資料。▲ 授業中の発言者は、その都度、ジャンケンで決定。ゲーム感覚の仕掛けで生徒の積極性を引き出す作戦。神奈川県横浜市出身。武蔵野美術大学を卒業後、非常勤・臨時教員を経て、1994年より正規教員として勤務。以来11 校を歴任し、2011年より現職。美術教科書著者である村上尚徳先生が全国の美術室を訪問。“村上先生視点”で、現場の工夫や先生方の美術教育への思いに迫ります。隣の中学校は何をしているの?村上センセイが行く!荻島千佳横浜市立上飯田中学校荻島千佳先生第6 回ちおぎしまか岡山県出身。岡山市立中学校教諭、岡山県教育庁指導課指導主事を経て、文部科学省教科調査官、及び国立教育政策研究所教育課程調査官に。平成20年の中学校美術、高等学校芸術(美術・工芸)の学習指導要領改訂に携わり、2011年より現職。村上尚徳探訪を終えて…対談の動画は日文チャンネルでご覧いただけます。むら かみ ひさ のりIPU・環太平洋大学副学長次世代教育学部教授大きな模造紙で考えを共有しながら活動を進める生徒たち。中学校美術科は教科である以上??生徒の才能やセンスにゆだねられるのではなく??教師が手立てを講じることで全ての生徒がねらいを実現できるようにすることが求められます??荻島先生の授業は??試す??気付く??考えるなどの学びのプロセスが明確で??生徒が気付いたり考えたりしたことをグル??プやクラスで紹介し合いながら学習が深められるよう構成されています??中学校を卒業したあとにも??美術科で学んだことを??生徒が実感できるような授業でした??今日の一枚生徒とつくるロックでワルツな授業空間。“素材基地”を中心に学びの輪が広がる!遊び心を随所に散りばめたア??プテンポな授業展開村上今日は一年生の?色実験?を見学させていただきましたが??生徒たちとテンポよく対話しながら進めるハイテンシ??ンな授業には驚きました??荻島本校は多様性にあふれた中学校で??全校生徒の二割を超える外国籍の子も??支援が必要な子も??同じクラスで学んでいます??生徒の学力や理解力の差も大きく??日本語が分からない子もいます??そんな生徒たち全員に美術の楽しさを分か??てもらうには??授業にゲ??ムの要素を加えて参加しやすくしたり??目で見て分かる資料やシンプルな言葉による指導をしたりすることが大切だと考えたんです村上授業全体をユニバ??サルデザイン化しているんですね??荻島最初は苦労しましたが??生徒たちと対話しながら??何年もかけてこのスタイルをつくりあげてきました??一方で??授業の中でつまずきやすいポイントではあえて答えを教えず??生徒たちがじ??くり考え失敗から気付きを得られる時間を取??たり??生徒が行き詰ま??てきたタイミングで?カンニングタイム?を設け??他の生徒と工夫を共有し発想を広げられるようにしたり??リズムよく活動に集中できるよう工夫しています?? そして??全ての活動におい授業の展開から教材まで??生徒の気付きや成長につながる遊び心を大切にしています??村上美術室は作品の掲示が少ない一方で自分のオリジナリテ??を見つめてほしいので??あえて作家作品は掲示せず??モチベ??シ??ンア??プにつながる生徒作品を少しだけ展示しています??その分??材をむき出しのまま置いており??生徒が部活動で使う道具の制作や修理??他教科の先生の教材の加工など??美術の授業を超えた学校の”素材基地“として役立ててもら??ています??村上他教科の先生とも??美術室を中心にして交流を深めていら??し??るのですね??荻島そうなんです??美術という教科は理科や数学と関係が深いし??感覚を表現する国語の力も磨けます??そんな美術の可能性を他教科の先生や地域の方々に理解していただくには???今??美術で何をしているのか?を発信することが重要だと考えて??美術室の前には授業のテ??マや取り組みをまとめた看板を置いています??美術室を開かれた空間にして??人とのかかわりを大切にしながら??生徒が成長できる環境をつくりたいと思うんです??村上授業の中に学習指導要領の要素がし??かりと散りばめられていて??よく考えて準備されています??それが荻島先生の快活な授業の肝なんですね??荻島私は美術を?学問?だと考えていて??授業は基礎力の獲得→課題のクリア→答えの発見・考察という構成を意識して組み立てています??そのような授業を三年間通して行うことで??段階的に?思考する能力?を身に付けてい??てほしい??そのため生徒一人一人にポ??トフ??リオを用意し??三年間の気付きや失敗??創造??自分がたどり着いた答えを一冊にまとめるように指導しています??美術の一番の魅力は??答えが一つではないこと??生徒には??自分で考え??自分だけの答えを見付ける力を身に付けてほしいと思い??考えるヒントを提供してきました??ある卒業生から?先生の授業で??自分で考える力が身に付いたと思う?と言われたとき??これでいいんだと思いました??考える力さえ身に付いたら??人生なんとでもなりますから??生徒??教員??地域の方々??人とかかわり授業をつくる三年間で段階的に?思考する能力?を伸ばす⑪ forme No.319 文:坂井 修 写真:市来明久 小 中 高 fo r⑩me No.319  ??て??ワクワクするようなモノであふれていますね??荻島様々な材料や用具??資料??教