現実的に考えると，表計算ソフトを利用してさまざまなデータ処理を行ったあとで，最終的には誰かにその処理結果を伝えることが求められることになります。単に何らかの計算を行うためだけに使用するものではなく，データを見やすくわかりやすく加工するためのアプリケーションであるといえるでしょう。指導の際には，ついつい関数の習得やグラフの作成方法など，細かい操作技術的なところと，さらにその入力の際のスピードアップにばかり眼が行きがちですが，実社会でも通用する情報活用能力ということを考えれば，相手にうまく説明できる説得力のあるデータ処理結果を出力できなければなりません。単に使い方だけを習得させるのに終始しない工夫が必要というわけです。

　そこで，Microsoft Excel（以下，Excel）を指導する際の，指導内容のステップを確認してみましょう。初めに，ソフトの操作方法をある程度習得させなければならないのは間違いありません。次に，Excelの最大の機能ともいえる関数については，充分に活用できるだけの操作スキルも必要といえるでしょう。そして，基本操作や関数の利用方法がある程度習得できた後で，その習得したスキルを使ってどのような情報発信ができるかを考えさせることを，経験させることが大切だと言えるでしょう。

目的：今まで学習してきた内容を活用して文化祭模擬店の収支報告書を作成しよう。

手順１：班別の資料とアドバイスを参考にして，下表に適切な数値，式，関数を入力して表を完成させよう。





アドバイス

●「担当班」には［Ａ班］などの班名を入力する。また「販売価格」，「販売数量」を資料から入力する。
●IF　SUM　AVERAGE　MAX　MIN　COUNT　COUNTIF　SUMIF　RANK　COUNTAなどの関数を使用する。
●「売残数」は，もし「仕入数量」と「販売数量」が等しいならば［完売］を表示し，そうでなければ［売れ残りの数（計算式にて）］を表示する。
●「販売品数」は各班ごとの販売した商品の種類数を表示する。
●「売残品数」は売れ残った商品の種類数を表示する。
●「最大利益」は利益額の最大値，「最小利益」は利益額の最小値を表示する。
●各項目名は中央揃えにする。数値については小数点以下は表示せず，３桁ごとに桁区切り（，）をつける。

手順２：手順１の表が完成したら，班別の利益合計の円グラフを作成し効果的なタイトルや文章をつけて報告書にしよう。
※各自が独創性を持ってプレゼンテーション能力の向上という姿勢で取り組むように心がけよう

文化祭模擬店収支報告書