ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.31 > p32

コンピュータ教育のバグ
レコード屋はどこへ行った
—メディアの進化に遅れる対応—
 ある日,インターネットで検索をかけてみた。「レコード屋」の検索結果37,800件,「CD屋」の検索結果48,700件,「レコードショップ」の検索結果23,700件,「CDショップ」の検索結果1,920,000件…最近の中高生にレコード屋と言ってもピンと来ないらしい。しかし近年,CDですら売り上げは減少し,携帯電話等でダウンロードして音楽を楽しむ方に主流が移ってきている。
時代と共に移ろう
 いろいろなメディアは時代と共に進化する。レコード,ダイヤル式電話,図書券,手書き印刷の定期考査…これらは,一昔前まで当たり前だった。しかし,今ではすっかり廃れてしまっている。音楽CD,テレホンカード,地上波アナログ放送,手書きの調査書や通知票…。これらも風前の灯火といった状況だ。
 コンピュータに関連するメディアでも,たとえば記録媒体などは進化めまぐるしい。学校にコンピュータが導入され始めた頃は,まだパンチカードや紙テープを使っていた時代だった。その頃のSFドラマなんか見ると,コンピュータからカチカチいって丸い穴がいくつもあいた紙テープが吐き出されてきて,その紙テープを見た登場人物が,「隊長,これは大変なことになりました」なんて報告したりするくだりがよくあった。
 次の段階は磁気媒体へと進んでいく。カセットテープという時代を経て,フレキシブルディスクへ。日本人の偉大な発明品の一つと言われる,いわゆるフロッピーディスクというヤツだ。これも,初期は8インチという巨大なサイズを標準としていた。それからサイズは5.25インチ,3.5インチと小さくなっていく。このあたりは,学校ではまだまだ使われている。しかし,家庭で使っているパソコンからは,フロッピードライブは姿を消しつつある。
 近年の記録媒体は多岐にわたっている。まず,各種のメモリカード類。いろいろな規格のものがしのぎを削っている様相である。また,携帯電話や携帯ゲーム機などにも使えるより小型のカードも開発され,この混沌に拍車をかけている。また,USB式のフラッシュメモリもその手軽さから一気に普及してきた。さらに,オフィスや学校ではサーバーに領域を設定して保存したり共有したりという方法も一般的になってきている。
コンピュータ教育は追随できているか
 こういうめまぐるしい変化は,学校におけるコンピュータ教育にとっても死活問題のはずである。メディアの変化は,二つの対応を迫るからである。一つは,新しいメディアそのものとそれを読み書きするための装置を必要とすること。もう一つは,それぞれのメディアの特性と取り扱いの留意点を指導しなければならないことである。費用の問題もあり,導入と新たな指導にかかる時間の問題もある。
 ところが,このような問題をシリアスに考えていない学校が意外に多いのではないだろうか。では,どうしているかというと,新しいメディアを使わないようにしてコンピュータ教育を継続させているのだ。こうすれば,当面は面倒な事態は避けられる。費用や時間といった心配も,とりあえずは必要ない。しかし,そのままにしておくと,とんでもなく時代遅れなコンピュータ教育を施してしまうことになるのだが,…いつになったら気付くのだろう?(When will they ever learn?)
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