ブックタイトルICT-Education_No.51
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ICT-Education_No.51
2.PenFlowchartの利点PenFlowchartはマウス操作でフローチャートを編集することによってプログラムが生成できるようにPENを拡張したもの(プログラム→フローチャートも可能)である。PENのテキストエディタの画面では,意味もわからずに生徒が「写経モード」に入ってしまうことがあったが,図であれば流れが自然に意識される。図はテキストよりも制約が強いため,構文的に正しいプログラムしか書けない。IFとENDIFの不整合のようなことは決して起こらないし,間違ったインデントに惑わされることもない。実行環境はPENをそのまま使っているので,プログラムを1行ずつ実行したり,実行速度を遅くしたり,途中で止めて変数の値を確認したりすることができる。ソートが一瞬で終わってしまうのを見ても,何が起きているのかよくわからないが,PENで二重ループを1行ずつトレースしてみれば理解の助けになるだろう。3.勤務校における使用実績筆者は勤務校でPenFlowchartを2011年度の途中から使い始めた。しかし授業が進んでから使い始めたことや,毎週のようにバージョンアップしていたこともあって,最初から使っていたPENをそのまま使い続ける生徒がかなり多かった。2012年度は最初からPenFlowchartを中心に指導したので,ほとんどの生徒はこれを使っていた。生徒が作業しているときの机間巡視はずいぶん楽になった。目を凝らして構文エラーを追いかける必要がなくなったからだ。もっとも,生徒はいわゆる全角・半角の区別に無頓着なので,これを見分けるのには苦労したが(現在のバージョンでは,記号類は強制的に半角に変換している)。実はプログラムのコードを直接編集しなくなることによって,フローチャートだけはわかるもののプログラムはわからないという生徒が増えるのではないかということを危惧していた。しかし,フローチャートからプログラム(あるいはその逆)に変換する問題を毎年定期テストに出題しているのだが,この設問については0点に近い点数の生徒がPENだけを使っていたときと比べて激減している。当初の心配は杞憂だったようだ。4.新教育課程への適用新教育課程の「情報の科学」の教科書でもプログラミングの活動が取り上げられており,そこではExcelのVBAやJavaScriptなどの言語が用いられている。これらの言語には「将来実際のプログラミング作業に使うときに役に立つ」というメリットも確かにあるのだが,冒頭に述べたような構文のミスによるエラーが理解の足かせにならないか気がかりである。セミコロンの有無や大文字・小文字の違いに振り回されたくはない。その対策として,実習でPenFlowchartを使うという選択肢がある。幸い,教科書にはプログラムとともにフローチャートが掲載されている。ならばそれをもとにして実習を行なうことができるだろう。もっとも,配列の扱いなどが違うのでいくらか手を入れる必要があるのだが,それはさほど大きな問題ではない。なお,PenFlowchartはhttp://watayan.net/prog/においてGPLで配布している。Javaのランタイムがあれば,OSを問わず実行できる。▲図1PenFlowchartの入力画面2?