ブックタイトルICT-Education_No.51

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概要

ICT-Education_No.51

すると子ども達自身が「My theoryばかりだから,そろそろ「どうして」とか「もし私の考えが正しいなら」とか,別の書き出しも使って自分達の考えを深めていかなくては」と気づくようになる。そこで,子ども達自身,自分達のMy theoryを見直して,そのなかで有効なものは何か,この次にどのような学習が自分達に必要なのかを,子ども達自らが判断し,学びを次の段階へ進めていくのである。こうした一連の学習活動に見られるように,この学校では学年が上がるにつれて子ども達自らが「考え育て」をしていけるようになる。ほかにもある程度学習が進んできたら,子ども達が自分達で使っている用語と専門家が説明に使っている用語がそれぞれどんなものかを頻度で比較するツールなどを使って,子ども達自身にどんな用語が使えるはずか気づかせ,用語を調べて使ってみて次第に理解させるなどの活動も行う。その結果,2年間の学習で少ない子どもで200個,多い子どもで500個以上の科学的な用語を使うようになっていることがわかっている。また,半年ごとの用語の使用数の伸びを見てみると,2年目に大きく上昇することがわかる。これによって,この学校における子ども達にとっての自分で自分の理解を育てていく力(Knowledge Building)が身についていることがわかる。現在,同様の授業が40カ国以上の学校で行われているが,必ずしもカナダの拠点校で起きている質のKnowledge Buildingが起こっているというわけではない。文化によって学校教育の目標が統一テストに合格することであったりする場合,評価の指標がゴールとして設定した用語を子ども達みんなが使えるようになったかというところにすり替わってしまっていたりするケースもあり,そういうところでは子ども達一人ひとりのKnowledge Buildingを保障する授業展開は難しい。(2)事例2:知識構成型ジグソー法日本における対話による建設的相互作用を引き起こす授業を見てみよう。これまでも仮説実験授業や「学びの共同体」など,さまざまな成功事例を見つけ出すことができるが,本稿では,CoREFが20近くの教育委員会と連携して取り組んでいる授業について紹介したい。日本の教室で対話による建設的相互作用を引き起こすために,これまで筆者が試みてきたことから得た答えとして,知識構成型ジグソー法に取り組んでいる。知識構成型ジグソー法は,次のような手続きによって行われる。まず,子ども達に理解してほしい内容を課題として設定し「ここまでの内容を表現してほしい」学習目標を設定する。次に,その課題に子ども達自身が自分達の知っていることをもとに自身で答えを構成するために必要な知識を教科書や補助資料から数点選び出し,それらを「部品」として整理する。実際の授業では,まず課題への子ども達それぞれのその時点での考えを書かせるなどして記録しておく。その上で子ども達を部品ごとにグループに分けさせ,その部品について書かれている資料を読んだり実験したりして,その内容について自分達がわかる範囲でほかの人に説明できるよう準備する。これをエキスパート活動(分担説明準備)と呼ぶ。やることは分担した部品の説明準備活動である。次に,異なる部品を担当した一人ずつが集まって新しいグループを作り,自分が担当したそれぞれの部品について,説明し合ってそれらを統合して,課題への問いを作るための対話を行う。これをジグソー活動という。部品を統合して答えを作る活動である。エキスパート活動での内容をそれぞれが対話を通じて統合していき,教師から提示された問題への,最初に考えていたものよりもよい答えを一人ひとりが作り上げていく。最後に,それぞれのグループで導き出された答えを発表し合い,意見を交換後,自分の考えを子5