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概要

ICT・EDUCATION 2018特別号

○と△の人の違いを考えさせる『○と△の集団』。電車が来た瞬間、片方の姿が消えてしまうことで「線路より手前のホームにいる人か、奥のホームにいる人かの違い」がわかる。S P E C I A L INTERV I E W 柔軟な思考能力、豊かな発想力、鋭い着眼力で、様々な独自の手法や方法論を生み出してきた佐藤氏。それらはすべて、認知科学や計算機科学などの分野を学び、研究し続けてきたからこそ生まれてきたものである。そんな佐藤氏自身は、学生たちにどのような指導を行っているのだろうか。「まず、僕がやらせているのは、面白さの蒐集です。たとえば、街の中には独特のコミュニケーションがあるはずだから、それを蒐集しなさい、と。集めるとそこからい さらに、佐藤氏はレイヤーを映像化することにもチャレンジ。その方法は、〝文字をさばく?というものだ。一見、ただ文字が書かれただけに見える透明フィルムだが、実はそのフィルムは2枚重ねになっていて、フィルムをずらすと文字がばらける。つまり、すべての文字を分解し、パーツに分けてそれぞれのフィルムに書いてあるので、2枚をピタッと重ね合わせることで初めて、文字が完成するようになっているのだ。ここから発展したのが、『○と△の集団』で放送された駅のホームでの映像だ。くつかの特徴が見えてきて、すると、次に分類ができます。それを言語化し、それが新たな方法論になるのです。先日、ドイツのアーティストレジデンスに参加したいという学生に、その土地独特のコミュニケーションを最低3つ写真に撮って解説しなさい、という課題を与えました。すると、『レストランではメニューを閉じると、ウエイターが注文をとりに来る』『ビールグラスの上にコースターを乗せると〝もうつがないでください?という合図になる』などのおもしろい写真を提出してくれて、彼女は、この課題のおかげでものを観る深度がすごく変わった、と言っていました」 見方や意識を変えることで、今まで見えていなかったものが見えるようになり、そこから新しい方法論が生まれる。ここでもやはり面白さに焦点を当て、主体的に行動させることが重要なカギを握っていると言えるだろう。「自分が感覚的に面白いと思っていることが世の中にはまだ定着していなくて、それを言語化し、自分の方法論にできるとすごくいい。例えば〝音は映像を規定する?という方法も、僕があるときに気づいて言語化したものであって、今では広告業界の常識になっています。ただし、誰かが作った方法論を活用する場合には、単なる真似ではなく、自分の手で新たに作り直すことが重要。でなければ、本当に面白いものは作り出せないと思います」 最後に、情報科を担当する先生方に向けて、メッセージをいただいた。「情報教育にはふたつ意味があっ未定着のものを言語化し、新たな方法論を生み出す2枚のフィルムの間に紙を入れ、文字をさばいて見せる佐藤氏。9  S p e c i a l I n t e r v i e w画像提供:NHK画像提供:NHK