ブックタイトルICT-Education_No.52
- ページ
- 11/36
このページは ICT-Education_No.52 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ICT-Education_No.52 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ICT-Education_No.52
る技術を身につけさせる。また,進路選択学習では進路指導部発行の「進路ノート」という冊子を使い,1,2年次の「総合的な学習の時間」の中で計画的に指導が行われており,そこでも情報活用能力を必要とする場面が多い。自分の将来について考えることは高校生活で直面する最大の「問題」であり,情報科とホームルーム,進路指導部が連携する意義は大きい。(2)情報の発信情報の受け手側にまわるだけでなく,状況に応じて自ら情報を発信する技術と態度を育成するための学習として,プレゼンテーションとWebページ作成に取り組んでいる。本校Webページの部活動紹介は,生徒が授業で作成したものの中から優秀な作品を選んで掲載している。昨年度まではHTMLを学習した後,ホームページビルダーで作成していたが,今年度から本校ページにNetCommonsを導入したことから,部活動紹介ページはWordで作成し,PDFファイルとして掲載している。生徒は自分たちの手で作成したものが自校のWebページとして発信される達成感を得ることができ,また,対外的にも生徒の生き生きとした生の声を発信することで,相乗効果も大きい。5.「情報の科学」の重点指導(1)プログラムによる問題解決情報社会の発展に主体的に寄与する能力と態度を育てるため,既存のソフトに完全に依存するのではなく,状況に応じてプログラムでコンピュータに指示できるなどの能力の育成を目指す。教科書にある並べ替え等の代表的な例題を通して,アルゴリズムとプログラムの基礎を学習し,プログラムによる問題解決能力の修得を目指す。(2)専門性への入口を意識将来,理学部や工学部を目指す生徒も多く,コンピュータの世界に関する知的好奇心も強い傾向にある。2進数やハードウェア・ソフトウェア,ネットワーク等,分野によっては「基本情報技術者試験」レベルまで踏み込んで,専門的な学習への入口に立てる指導を目指している。机上だけの学習で終わらず,すべての分野に実感をともなう実習を取り入れたいと考えているが,まだまだ私の力不足で実現できていない課題も多い。来年度,新たな試みとして準備を進めているのは,2進数,論理演算を学習した後,プログラムの学習に入る前にもう一段階,簡単な電子工作等で実際に回路のしくみを体感させる実習を取り入れたいということである。また,データベースの学習にOSSのMySQLを導入し,SQLの基本操作を実習することで,難しいデータベースの概念を具体的にイメージしながら学ばせたいと考えている。情報科を通して,将来はより専門的に学んでみたいと興味を抱く生徒が一人でも増えてほしいという願いも込めて,授業計画を思案している。6.まとめ・今後の課題高度で多様化している今日の情報化社会において,高校の3年間で情報教育を完結させることは難しい。中学,大学との指導内容の連携を意識し,高校で学習指導要領にある教科目標の実現を目指す授業をすることで,大学でより高度に学んでいくための橋渡しをしたいと考えている。本校はほとんどの生徒が大学へ進学するため,大学受験を意識した学習指導に力を入れている一方,全人教育を目指す校風もあり,生徒会行事や部活動等も活発で,情報教育に対する理解も得られやすい恵まれた環境にある。今回の新課程を機に「社会と情報」,「情報の科学」の両方を開設することが実現できたが,本来であれば文理を問わず,両科目を選択履修とすることが望ましい。情報科の指導体制を考えると,これが現在,生徒に与えられる最大限の環境であると考えているが,今後は本来あるべき選択履修の実現を目指し,両科目の教育内容の充実により一層努めていきたい。9