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概要

ICT-Education_No.52

Web制作時の授業展開は次のようなものである。授業開始時と授業終了時にプロジェクト全体で情報共有のためのミーティングを行う。授業開始時にはクライアントからの情報や本日のタスクの確認などを行い,授業終了時には進捗状況や次回に向けた確認を,プロジェクトマネージャーを中心に各リーダーやディレクターに対して行っている。(4)生徒のようす他校の先生等にも授業見学に来ていただいたが,生徒の主体的に学ぶ態度に驚いている方が多かった。一人ひとりの生徒にそれぞれの役割をもたせ,生徒同士で相互に関係しながらプロジェクトを進めるため,学習に対する意識も非常に高くなっている。自発的に活動する生徒も多く,授業時間外での制作,クライアントへのヒアリングやアンケート調査の実施,市民講師への技術的な質問,新たなプログラミング言語やソフトウェアの勉強などをする生徒も多く見受けられた。5.最後に今回紹介した授業以外にも,システム開発や表現メディアの制作をプロジェクト形式で進めたり,ワールドカフェを行うなど,さまざまな形態のアクティブラーニングで授業を行っている。アクティブラーニングの中では,チームビルディングやファシリテーション,コミュニケーションも合わせて学習している。それぞれの授業を設計する上で意識しているのは,生徒に何を学ばせ,どのような力を身につけさせるアクティブラーニングにするか,という授業デザインである。生徒が主体的に深い学びができるようなしかけを多く取り込み,生徒が学び方を学びながら,深い学びと主体的に学習する態度を養うような授業デザインを心掛けている。今回紹介したWeb制作の授業は年間のカリキュラムを組む上で生徒が主体となり,全員で行う意思決定の機会を多く設けている。チームビルディングも生徒主体で行い,意思決定を行っている。そのため,プロジェクトでは連帯感と責任感をもち,相互に関係しながら進めることができている。また,プロジェクト全体やメンバー,タスクのバランスを見つつ,先を考えて積極的にコミュニケーションをとって活動する姿が見られた。ソーシャルリーディングの授業は,学習内容の定着を目的とした機会を多く設けている。授業中に協同学習を行っているが,そのプロセスにおいてはインプットとアウトプットを繰り返している。授業中にも授業後にも復習するしかけを多く取り入れることで,学習の定着を図っている。また,授業外でも自発的な学習の意識と習慣を身につけさせたいという思いがあり,自発的に学ぶ感覚を感じられるような授業デザインを行った。いずれのアクティブラーニングの授業でも,基本的に教員はファシリテーションを行う。場や人を動かし,生徒が主体的に学べるよう,ダイアログが活性化するように指導している。このことで,生徒間あるいは教員と生徒との相互作用を促している。また,必要に応じてコーチングやティーチングを行っている。今回紹介したソーシャルリーディングは同様の実施形式で国語科などでも行われている。アクティブラーニングは他教科などともコラボレーションして取り組みやすい。実際に夏期講習で英語科などと共同で実施したが,融和性も高いと感じた。生徒が主体的に学ぶ方法のヒントはいろいろなところにあふれている。今後もアクティブラーニングを取り入れた新しい形の授業を模索し,※注1実施していきたい。※注1:本稿の参考文献は以下の通りである。・「The Learning Pyramid」http://homepages.gold.ac.uk/polovina/learnpyramid/index.html・河合塾2013『「深い学び」につながるアクティブラーニング—全国大学の学科調査報告とカリキュラム設計の課題』東進堂13