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概要

ICT-Education_No.52

高校生が教える情報モラル教育鎌倉女学院高等学校佐藤正二1.はじめに本校では平成13年度より土曜講座を実施している。外部から講師を招聘して,中学生は年1回,高校生は年7回(1回3時間)受講している。私が担当する土曜講座「情報」では,これまで広告業界から講師を招き,ICTの最先端技術(Ustream,SkypeおよびTwitterなど)を用いて,鎌倉から世界に情報を発信しながら,生徒のコミュニケーション能力を高める授業を実施してきた。今年度は,高校1年生(12名)が小中学生に「情報モラルを教える授業」をつくることを目標に,活動を展開した。2.「高校生が情報モラルを教える授業」とはこの授業のアイディアを思いついたきっかけは,※注1平成24年度の高校生熟議の最終報告会や,校務の一環で私が学校裏サイトなどのチェックをしていた経験からである。本校でも毎年,中学生対象の外部の講師による情報モラルに関する講座を行っているが,充分な理解に至らず,トラブルに巻き込まれてしまう生徒は後を絶たない。大人と子どもでは年齢が離れているためにコミュニケーションがとりにくく,世代間の認識のギャップが生じやすいためと感じる。それに対して,高校生と小中学生といった子ども同士では,年齢が近いのでコミュニケーションをとりやすく,より共感しやすくなる。そこで,高校生が授業者になり,小中学生に情報モラルを教えることで,情報モラルへの理解を高められると考えた。また,教える側はたくさんのことを教えたがるが,それらすべてが教えられる側に伝わっているとは限らない。そこで,今回の取り組みでは,たくさんの情報の中から大事なことを取り出し,それらを短くまとめて伝える活動を意識させた。そのために,印象に残るキャッチコピーをつくることに慣れている広告業界の方に講師をお願いした。さらに,SNSなどの事例を理解させるため,多くのネット事業者の方にも講師をお願いした。ネット事業者の方には,ネット上で起きているトラブルや問題点などの講義と共に,啓発活動を行うときのコツなども教えてもらった。また,生徒たちにネット上で起きている危険なトラブルなどを疑似体験させた。3.授業の展開今年度は,4月27日~7月13日のうち7回の土曜日を使い,1回3時間(7月6日のみ6時間)の授業を実施した。そして,7月8日の放課後に本校の中学1年生に「高校生が教える情報モラル」の「授業」を実施した。(1)第1回目(4/27)目的:講師,生徒の距離を縮め,本年度の授業を把握する。時間活動内容活動形態5min諸注意など座学30min/35講師の紹介座学60min/95受講生の紹介集合談義10min/105休憩20min/125今年の授業の概要説明とリテラシー調査集合談義55min/180ターゲット理解と訴求内容の検討座学/集合談義▲表1第1回目の展開まず,この土曜講座の目標として,生徒たち自※注1:モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が主催する,全国の高校生が情報モラルやネットリテラシーを徹底討論し,最終的に総務省やネット事業者等に提言を行う活動。平成25年度より,「高校生ICTカンファレンス」に改称している。詳しくは「高校生ICTカンファレンス(高校生熟議)」(http://www.ema.or.jp/education/events/hicof.html)参照。14