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概要

ICT-Education_No.52

言語活動の充実と情報活用の実践力を養うための教材の開発と実践─情報カードを使った高等学校における協働学習の実践─大阪府立東百舌鳥高等学校勝田浩次稲川孝司hirotsugu.katsuta.0611@gmail.com1.はじめに知識基盤社会とよばれる現在の社会では,学校教育において求められる力も変化してきている。こうした変化に対応するためには,従来の知識を溜め込む学びから,知識を活用し,コミュニケーションを重視した,つながる学びへの学習方法の変化が必要である。文部科学省はこのような学習の形態や力を,「言語活動の充実」や「情報活用の実践力」という言葉で説明している。しかしながら,「言語活動の研究」や「情報活用の実践力」が必要であるとされている一方で,具体的な実践例や教材が十分であるとはいえない現状がある。そこで筆者は,関西大学の学生と協力して,「言語活動」を充実させ,「情報活用の実践力」を養うための教材を開発した。本稿では,教科にとらわれず,広く情報教育として実践することができる情報カードを使った教材と,その実践内容について紹介をする。2.教材について本授業で使用した教材は,「1年3組のみなさん整列してくださーい!」(図1)という教材である。この教材は,コミュニケーションワークの※注1視点から書かれた本『たのしいグループワーク』を参考にして,関西大学の学生とともに新たに作成したものである。この教材は,高校生の生徒が,小学生のお兄さん,お姉さんになり,はじめての朝礼で並び方がわからない小学校1年生の児童を背の順番に並べるように手伝ってあげるという場面設定である。▲図1「1年3組のみなさん整列してくださーい!」なるべく実生活との関連をもたせ,親近感の湧く課題としたかったため,このような場面設定となった。生徒は,小学校1年生の児童を背の順に並ばせるため,情報カードに書かれた情報をヒントに課題に取り組む。問題シート上で人物カードを入れ替え,正しい順番になるように情報を収集,編集していく。情報カードは全部で20枚ある。5人1グループで8グループつくらせるため,一人当たり4枚の情報カードをもっている。情報の伝達は口頭でのみ行い,自分がもっている情報カードはグループのメンバーには見せることができない。カードの一例を紹介する。位置を特定するためのヒントとなるカードの情報には,三つの種類がある(図2)。▲図2カードの種類と一例※注1:大阪グループワーク研究会2004『たのしいグループワーク』平文社18