ブックタイトルICT-Education_No.52
- ページ
- 23/36
このページは ICT-Education_No.52 の電子ブックに掲載されている23ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ICT-Education_No.52 の電子ブックに掲載されている23ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ICT-Education_No.52
生徒は関連するワードが出てきたら,カードを読み上げたり,確実にわかる情報から伝えたりしていた。そして,出てきた情報を一つずつ集め,順番に整理していた。これは,情報活用の実践力の一つである「課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて,必要な情報を主体的に収集・判断・処理・編集・創造・表現し,受け※注3手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」であるといえる。他にも多かった意見としては,「楽しみながら取り組むことができた」,「友人とのコミュニケーションをとることがおもしろかった」,「またやりたい」,「話し合うことの大事さがわかった」というような,関心,意欲に関するコメントである。生徒にとっては,ゲーム感覚で友人と協力しながら学習を進められるため,教科書を読み,ノートをとるといった普段の授業内容とはまたひと味違った魅力を感じていたようである。さらに,「できたときに達成感があった」といった感想も見られ,生徒にとって達成感を感じさせることもできたようである。生徒の興味,関心をひくことで,生徒の情報活用への意欲を高めることも期待できるのではないかと考える。最後に,短い時間で情報活用の一連の流れを実感させられることも,その後の情報の授業を展開していく際に役立つと考える。教科「情報」の目標としてあげられる,情報の収集,加工,発信という一連の流れを行おうと思うと,少なくとも3~4時間は必要である。しかし,その一連の流れをわずか1時間の短時間で行え,教科「情報」の目標を体感させられることも,この教材の大きな成果ではないかと考える。5.まとめ言語活動の充実と情報活用の実践力について生徒の感想をまとめた結果,生徒は情報をまとめる際には,他者の意見を尊重しながら,仮説を立て,予想するという言語活動を行っていたことがわかった。また,生徒は課題解決のために,グループの状況に合わせた情報収集・処理・表現を行っていたことが明らかになった。実践をしていて何よりも印象に残ったことは,生徒の楽しそうな姿である。友人たちと額を突き合わせ,真剣に意見を交換し,試行錯誤をしながら考える表情を見ることができることが,この教材の一番の魅力だと感じる。この教材は,情報科の授業に限らず,視点を変えたり言語を変えたりすることで,あらゆる教科で活用することのできる教材である。例えば,問題文の一部分を英語に変えると,英語を使った言語活動の充実を促せるかもしれない。このように,さまざまな教科,時間で目的に応じたアレンジをしていただきたいと思う。そうしてこの教材が,言語活動の充実や情報活用の実践力を養う授業を※注3行う際の一助となれば幸いである。謝辞本稿で紹介した教材「1年3組のみなさん整列してくださーい!」は,関西大学総合情報学部の樋上和伸くん,相場早織さん,佐々木沙恵さんの協力により作成することができました。※注3:本稿は,園田未来,久保田賢一,勝田浩次,稲川孝司2013「情報教育における「情報活用の実践力」育成のための教材を活用した実践」『全国高等学校情報教育研究会第6回全国大会』での発表をもとに執筆した。21