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概要

ICT-Education_No.52

「情報通信技術の歴史としくみ」実践報告─本物を見て,触って,操作して,身近に感じる情報通信機器の歴史─長崎県立西陵高等学校下田彰shimoda3132@seiryo-hi.jp1.はじめに本校は昭和61年開校の全日制普通科(進学重視型単位制),第1,2学年では二人担任制の,特色ある学校である。大村湾を望む高台にあり,心和む風景が眼下に広がる恵まれた環境にある。10年ほど前,「情報機器の歴史」の単元で,教科書をそのまま解説しても生徒の反応はあまり芳しくなかった。そこで,自宅にあった機器を授業に持ち込んで,実際に使って見せたところ,生徒たちは好奇心一杯で,いままでにない反応を見せた。その後教材になる品々を少しずつ追加し,現在に至っている。これらは家族や私のコレクションなので思い切った使い方ができる。本稿では,「メディアの発達」などの授業で使用した機器の一部をご紹介したい。まれな事例ではあるが,このような変わった情報の授業もあるという程度で読んでいただければ幸いである。2.情報の授業概要平成25年度(今年度)までは旧課程の「情報A」を第2学年で実施している。45分2コマ連続の授業である。急な不具合に備えて,予備のパソコンを2台,つねに起動して演習に臨んでいる。生徒優先ではあるが滅多に故障はないので,教職員の授業参加を受け入れ,今年度は週に一人程度の参加がある。日々公開授業の気持ちでいる。生徒は入室後直ちにログインし,タイピング練習(5~10分,サーバに自動記録),情報モラルの解説(15~20分)を行った後,教科書に沿った講義・演習を行っている。3.授業計画と教材(1)授業のねらい今年度は6月~7月にかけて,「情報機器の発達と生活の変化」の授業を4時間の授業で行った。情報機器の歴史を教科書に沿って,実物を見たり,触れたりすることで,しくみや社会に及ぼした影響を理解させる。さらに,現在の情報機器との結びつきを理解させる。使用する機器については教科書に沿って解説する。以下,教科書の記述を囲みで示した後,教材との結びつき,授業のねらい,生徒の理解や興味・関心についてまとめている。(2)文字情報の記録教科書:ロゼッタストーン,活版印刷の発明により情報の保存と伝達への寄与を記述している。教科書には活版印刷の発明以降の歴史的な記述がないので,「文章を作成する機器」の発達を示して理解を深めさせる。レミントン社の1930年代のタイプライタを用いて,QWERTY配列の逸話やアメリカでの女性の社会進出への影響も解説している。ケースつきでも非常に軽くコンパクトであり,個人でも簡単にきれいな文書が作成できるようになったことを実感させている。実際に操作しながら,Shiftキーの「Shift」や,Shift-Lockの「Lock」のハード的なしくみを目にすることにより,パソコンのキーの本来の意味を初めて知る生徒も多い。数字の「1」がないことを不思議に思う生徒もいる。オリベッティ社製のタイプライタは壊れていて,修理のためにしばらく分解したまま教室に置いていたが,内部の構造が見えてよい教材となった。これは,バドミントン部の生徒からガットの切れ端を譲ってもらい,修理することができた。22