ブックタイトルICT-Education_No.52
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ICT-Education_No.52
井の中の蛙大会を知らず!??情報科の教員が陥りがちな危ういシチュエーションとは??世界には,色々なカルチャーギャップがある。例えば,南欧スペインでのシエスタの習慣は有名だが,現地に行ってみた人はやはり実際に経験してみて文化の違いに違和感を覚えるらしい。昼下がりは観光客相手の土産物屋でさえ休憩時間で閉店していたりする。スペインでは,みんながお昼寝する午後3時より,人通りが多い午前3時の方が治安がいいなんて話もあるくらいだ。しかし,こんなむかしながらの習慣も,グローバル化の波に押されてだんだんなくなってきている。う間に井の中の蛙状態に陥ってしまう世の中であることはもはや否めないのである。もうちょっと身近なところで考えてみても海外の教育に目を向けてみると例えば,お昼寝という慣行でいえば,台湾の高校では昼食時間の後に短時間のお昼寝タイムが設けられていて,ちゃんと時間割にも明記されているのが一般的である。その時間になると全校生徒が一斉にうたた寝するのである。日本人からすれば異様な光景だろう。情報教育について見てみても,諸外国と日本の状況にはギャップがある。日本の情報教育に携わる者としては,日本が決して世界に大きく後れをとっているとは感じられない。その一方で,例えばアジア圏であれば,シンガポールやお隣の韓国あたりは一歩先を進んでいる感がする。これらの国々のほとんどの学校では,実際のところタブレットやクラウドなんてものは当たり前だという環境が整備されていることが,どの程度知られているだろうか。日本のように教科としての情報科が孤軍奮闘で頑張っているのではなく,すべての教科でIT化された教育が進んでいて,一定の成果をあげているのである。日本のように,教育にICTを活用することの是非をいまだに議論しているような国はむしろ珍しいという事実を,私たち自身,あまり認識していない。つまり,情報教育に携わっているか否かは別としても,世界の情報に目を向けなければあっとい日本の一般的な高校には何人の情報科の先生がいるのだろうか。教科ごとの人数を比較すれば圧倒的にマイノリティーになっていることが想像できる。専任の先生がたった一人で頑張っている学校も多いかと思われる。その状況を云々議論しても急に環境は変えられない。ただ,そんな状況で注意すべき点があることを忘れてはならない。つまり,少人数あるいは一人で教科を担当している状況では,担当者の意向が多分に反映した指導内容になるという点である。それ自体は悪いことばかりではない。ただ,情報科の指導内容は多岐にわたるので,どの部分に力点を置くかとか,それぞれの単元をどのように指導するかとか,コンピュータの操作をどう取り扱うかなど,善し悪しは別として指導者の「色」が出る。しかも,ややもすれば,自分の設定した指導計画に基づいてそれを遂行していくことに精いっぱいになって,なかなかその内容を精査したり検証したりする機会に恵まれないケースもあり得る。では,そんな閉塞状況を打ち破るにはどんな方法が考えられるだろうか。教員も生徒たちも学校外との情報共有を図ればよいのである。ネットの世界でも可能ではあるが,より効果的なのは教員であれば研究会やセミナーなど,生徒たちであればコンテストや発表会など,いわゆるいろいろな「大会」に顔を出すことが思い当たる。大会で相手を知り己を知ることで,少なくとも井の中の蛙にはならないのではないだろうか。32