ブックタイトルICT-Education_No.52
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ICT-Education_No.52
※注4~国際結果の概要~」では,「『情報へのアクセス・取り出し』では,複数のナビゲーション・ツールを利用し,多くのページを横断しながら,特定のウェブページにたどり着き,特定の情報を見つけ出す技能が求められる。」など,新たな力点や戦略が必要とされることを述べている。PISA2012では,コンピュータを使用した調査に加わった国・地域は32であり,新たに「デジタル数学的リテラシー」調査も加わった。レベル5以上の生徒の割合は,「デジタル数学的リテラシー」において,シンガポールが35.6%で1位,日本は21.4%で7位,OECD平均は11.3%であり,「デジタル読解力」においては,シンガポールが26.8%でやはり1位,日本は※注514.2%と4位,OECD平均は8.0%であった。これらの調査に加えて,コンピュータの利用等に関するICT質問紙調査も実施された。その結果,学校以外でのコンピュータの利用目的では,「Eメールを使う」,「1人用ゲームで遊ぶ」の2項目のみ,「ほぼ毎日」「毎日」と回答した日本の生徒の割合がOECD平均を上回った。一方,「まったくか,ほとんどない」と回答した割合がOECD平均よりもはるかに高い項目には,学習にコンピュータを用いるものが多く,例えば,「ほかの生徒と学校の教材を共有する」ことが「まったくか,ほとんどない」と回答した生徒は,(日本86.1%,OECD平均41.9%)である。同様に,「コンピュータで宿題をする」(同88.1%,25.2%),「学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る」(同53.6%,13.8%)となっている(表1)。私はこの状況が心配でならない。国際オプションとはいえ,2009年から「デジタル読解力調査」を実施し,2012年からコンピュータを使用した調査を「数学的リテラシー」,「読解力」,「問題解決能力」の三つの分野に拡大したことは,義務教育終了段階の子どもがこれからの社会で生きる上で,コンピュータを活用する力が必要であると,OECDが判断したからに他ならない。ほかの生徒と学校の教材を共有するコンピュータで宿題をする学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る「まったくか,ほとんどない」と回答した生徒の割合13.8%25.2%41.9%53.6%86.1%88.1%0.0%20.0%40.0%60.0%80.0%100.0%日本OECD平均▲表1『生きるための知識と技能5』p.334のデータをもとに作成。(2)提言:中学校に新教科「情報」の設置教科「情報」が,現代の,そして将来の情報社会において,知ることを学び,実践することを学び,他者と共に生きることを学び,人間として生きることを学ぶ,重要な内容を豊かにもっていることについて述べた。私は,このような特質をもつ教科「情報」の中で,科目「社会と情報」のほとんどを中学校に移行し,「技術・家庭科」とは独立した教科とするべきであると考える。このように述べると,すぐ中学校における総授業時間数と各教科の授業時間数の議論に移行し,結果的に新教科の設置は実現しない,と予想されることも否めない。しかし,私は次の点から,次期学習指導要領改訂において中学校に新教科「情報」を置く決断をすべきであると考える。第一に,述べるまでもなく中学生に届く情報量※注4:国立教育政策研究所「PISA2009年デジタル読解力調査~国際結果の概要~」http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/pisa2009_Result_Outline.pdf参照。※注5:両デジタル調査の問題例は,「PISA examples of computer-based items」http://cbasq.acer.edu.au/(ログインネーム:public,パスワード:access)に公開されている。4